あのときオリオンだった灰
猫の上に城を建てる
鈍色を育てるのに長けた指
背高天秤
水槽満杯のニルギリ
ひとつの楽器にひとりの小人
小宇宙を内包するミントタブレット
花の手足を千切って占った恋
ささくれに引っかかるゼリービーンズ
本棚にはドライフラワーが丁度良いくらい
名前にまで四季を背負わされる業
黒胡椒だって生きもの
紅いのに金だと云うフリル
射手座サーバはもう満員
ティンカー・ベルは門番の恋びと
乱反射しながら改札を抜けてく
羽毛のようになみだを弾く
海に積もる雨
ネオンの痣
たましいは体のなかで浮いている
水彩画の被膜に歯を立てて
バルコニーに降る銀鱗
10 years plus you
ロリポップは肉食か
極彩色が燃え落ちる
四季の命日
晴れ女の雨に死す
細胞でくるんだ愛とか
一人で咲いてろ
幼少の悪魔
花言葉しか話せない人
100階建ての星ぼし
ボタニカルエンヴィ
初夏準急
アンニュイキャラメルコーティング
さよならからのグラデーション
ロイヤルネオンライトクラブ
こんな死骸が貴石だという
花瓶のパルファム
12月の天鵞絨に結晶する
歯にさわる呼称
使い古しの予言でもひかるよ
花折りの鉛毒
ご自愛ならご自分で
結んだ迷子がほどけない
生まれたときから萼だった
グロッケンシュピールで明けてく
樹氷を脱ぐ
ひとりで始めた嘘だから
おばけの裾引く
その子午線は誰が縫ったの
君の名のついた台風が過ぎる
魚は泣かないと君が言うので
心臓ひとつでわらってくれる?
続く路も花ざかり
患ってゆくしあわせ
莢を着る魚
真昼には満たない地下室の光源を
デッドストックの真っ暗闇
鮫の胎に生まれ直す
ワンダーワンダー
スチール缶いっぱいのコーンで溺れる
朝の端を焦がすライター
cannotと10cm
振るならばかわいい刺繍の白い旗
百の耳そよがせて
踊っていたいふちどりで
野生の冬は懐きませんので
睡りに栞を挟んでからね
じょうずに綴じてあげられる
初恋を埋めたシリウスを春が来るたび通り越してく
滴るプラズマ
欲は食うもの
鈍色の鍵束に括られては飽き
失望の酸化するさま
余白ばかりの女の午後は
跡形もなくなってからが愛
揃えた襟足は羽を撫でるに似る甘美
これが愛なら蝶々結び
わたしだけのかわいい化け物
溺れたいなら帰っておいで
なんにもなくても王子さま
ゼロのおとなり
足あとは星を構成るか(構成る:つくる)
listen to your "easy"
食べられないのは女と青い実
裾の陰の台風
ジャム瓶の蓋の上で踊る
ギターと魔法は交通手段
グッナイはおやすみじゃない
回転木馬でゆきます
オーロラおりがみで舟を折って漕いでく
まど硝子に埋まる月
はみ出した海はペガサスの棲み家
チョコミントを讃えよ
レースカーテンは鉄壁
花を入れるための棺
脳に棲む古代魚
液体宇宙
a planet on the dish
想像で殺してくれ
易しいおわりを与えてちょうだい
眠る電気信号
君の肌の蛍光
腐りかけの羽根のあと
イニシャルを縫ってくれ
楽園のずっと下
ぼくの孤独がほしいのかい
シュガー/キャンディー/ファルセット
樹脂の右脳
血の中で幾億の卵が孵るよ
回游する昏黒
しあわせも語呂合わせ
その干乾びた両手がやがて常磐に還るように
あなたにも訪れるであろう祝福の日のことを
宇宙を壊す音に似ている
君の足元の冷たい土でさえ星なのだから
刃の上のしろかねの
麗しき劣等
愛に生まれて愛へ向かう
そのひとみは三月の終わり
花びらの降るように、木漏れ日を抱えて星の川を駆けておいで
世界は悲鳴も上げないが
雌の生態
足跡から蛇が生える
常しえを泳ぎ切れども
スクリーンに死す
金の靴で駆けるブルネット
遮断のユートピア
螺旋階段のいちばん上から踊るように突き落として
夜を這う蜉蝣
ライオンバンビーナ
溺れる蛍光
エラー・エラー
ハートブレイクにつき
憂鬱なアロワナ
キッチンクイーン
春殺し
傷口に生クリーム
うそつきな贄
つめたいまひる
人形が死んだふり
つまり裏切りとはその指であり
お前の夜は何処にある
ロマンシング・ア・ロマンス
虚空を泳ぐ
鷹とクレオパトラ
機械音に耳を澄ませて孤独は午前四時の中
まいにちが結晶化する
チェリーコークと散弾銃
からだの中のたうちまわって赤い実
1/7200の額縁
褪せる菫/冬の絹
君と空気の境目にふさわしい名を
恋はかばんの底で三年間忘れられていました
レースのもよう/覗き窓
きみがふるわす空気がすきだ
ひらかれる発光
画用紙の隊列
夜の余白を集める
祝福の街まで雨は降らない
星屑をちりばめた靴なら遠浅を渡ってゆける
night on the floor
息ができないなら陸だって海だ
I love you, my little crocodile
マシュマロバブルリング
砂糖は大さじ7杯、アカシアの蜂蜜と山桃のジャム
あのタルトには媚薬が入っていた
路地裏/煙る/オレンジライト
dancin' in the zoo
星の尾を引く
まばたき惜しむ少年
がらくたの海
スカートの裾がちらつく
きみのかわいいボーイフレンド
彗星ペン
自転車ロケット
オズに恋して
賛美歌の106番を歌うように
溺れる花嫁
さかなを食べても泳げないなら
銃口からたなびくオーロラ
ベッドサイド・グローリア
なにもない光を尊ぶ
水中都市に幻獣を飼う話
深海魚と金のたてがみ
きみの孤独は綿菓子に似ている
雷鳴のさざ波
痛いことだけ甘かったような気がする
あなたより春に近いいきものを知らない
羽根のように軽い冒嫉
光を薙いで火を吐いて
花束の背骨
輝きばかりの荒れ地にひとり
干からびてないで何か正しいことを言って
寄生する銀河
点描の騒ぐ光のなかを
角は水槽
イレブンエイエムスプラッシュ
胸はうつわ、その涙を受けるための
はじめて会う発音
夜の蓋をきちんと閉めて
瞼に夜を塗る指の腹が白い
33の痛みのなかからひとつだけ
くだらないを蒸留したら
どっちのほうの夢のこと?
ブルーグレースプリング
火を罰する術
似せるのをお忘れです
暗やみの紡績
吸うたび失う
ロマンチックでなるものか
オーロラの殻
生活はビロードの上に成る
その盲目に名前をやろう
逆さ恋文
2文字なら悪い魔法
穴あきの四季
春ごといなくなる人へ
装身具に太陽の刺繍
額に文字の成り損ない
噛まれたいのは流行病
夢にいくつかの気泡
蒸発する幽霊
瓶詰めの憂鬱
擬態する窓
蕾む睫毛
まあるくほどいて
星が薄まる
常春の莢
常套句の粒子が沸騰する
これは滲み、斑ら、欠陥の
アパルトマンつばくらめ
透ける紙なら悪意と押し花
「心臓が重たくて、泳げない」
わたしが嘗て大気であったとき
アクリルスプーンの上の砂漠
アルファベット百味
ピアスホールに青の染む
錆びた夜にも星は降る
少女による魔法のための必須条件(刃は隠すこと)
迷子のための花圃の地図
恋や愛とはばけもののこと
月の血肉
星を探して深く掘る
鯱になりたい少女の脚
この傷は写真や手紙と同等だから
食器棚とシュモクザメ
木苺と蛇の卵と天使の鱗
ばけものを孕んだの
化粧疲れ
ぼくはピラニア 天の川のピラニア
なけば宝石、歌えば更紗
猛毒のお招き
紅茶の濁りに怪獣は棲むか
生クリームのお化けがぽろぽろ
翔ぶための骨はウサギの形
狼と木綿のシャツ
うつくしきはミルフィーユの毛並み
かわいい名前の病気
スペルはxxx
鷹と造花
ファズギターの思し召し
クリームと桃と皮膚
ランタンプラネタリウム
キッチンハネムーン
わたしのバービーボーイ
マドンナか化け物か
you/your/me
飾られない卓上
恋は猫の眼
星の座る椅子
マシュマロウォーズ
呼吸しない愛
ぼくらゆく先に愛は眠っていないから
リボンをとくみたいにいなくなる
罵りたいならわたしにしてね
きみの暗やみを払い除けてく
正しさと心中したいんだ
ダイヤモンド酸素
なまえのじゅもん
君の字は生きている
春千歳(はるちとせ)
凍傷から芽吹いて灰だらけの春
ぼくが読めない逆さ文字
3秒後きみがしあわせであるように
その一言ラップでくるんで保存したい
スパイシーバニラビーンズ
発光する常夜
花と屠肉
猛毒いちごシロップ
蝉の還る土へ春は消えゆく
ぼくの心臓に隠した
久遠をねだる子
えりあしに花屑
チョコレート・マシンガン
空翔ける星の死骸
五本指と鍵盤と光る銀の刃カッターナイフ
骨からでまかせ
葉桜の燃ゆる頃
スパイシークラシック
スワンレイク心中
エデンアゲイン
篝火で星を焼く
春になったら桜を狩りに
土およぐ魚
一人称戦争
花と方舟
掌と本能
裸足の薊野
持ち運び熱帯魚
チョコレートを忘れる薬
振られて魚に擬態する
頭蓋の内に湖のある人
ベッドふくらます七色バルーン
リトマスコスモス
朝が明けたら金星に
プリズム滲ませて
ひびわれてゆく午前5時の表皮
キャンディーストライプの舌の上
呼吸の底に積もる
おとなりの反射光
嘘で澄む水
透けない表皮のミシン目に
平たい胸から滑り落ちてく言語の群れ
girl(花は食むもの)
ボーイミーツガール戦争
かわいい呪いを結わいてあげる
羽と真珠とビスケット
おめでとうを星座でいうと
星捕りの番人
陸続きのワンダーランド
百年待っても骨は羽にならないように
見上げ続けて石になりました
あはれホットミルクの行く末
不可視のサテンリボンでぐるぐる
残さず食べたお皿の上で
エーテルへの信仰
夏の荒らした跡たどる
魔女は西には飛んでゆけない
ぼくだけのイライザ
チョコレートの棘
ロンリーネオン
不要性
小鳥とトリコロール
苗にお眠り
胸ポケットの神様
地球が千回まわった日
六月は花かんむり
月がとっても白いから