"グレースケール"
花枯る五月
嘘ばかりが煌いた
そんなに涙が美味しいかい
あじさい柄の淡く
心音はさよならの数

"ウォーターカラー"
埋まらなくても溢れてく
つめたい骨も冷たいままに
花びらどこへ散る
あの子のこと話そうか
きみの金の道、ぼくの白い道

"ハローフレンズ"
教室の隅の伝言ノート
午後四時の廊下の橙
サイダーに喩えるような
制服の水たまりに虹もかかる
芽も眠る三月

"チョコレート"
燃えれば茜
羅列する夜
ティーカップに銀河を
実は生る葉は散る
彼女の棲む秋

"セブンティーン"
春は薄紅
星おはします
うだるネオンに消ゆ
冒涜欲
呪文は知っていたよ

"フール"
子宮の底
ぼくが腐って世界ができる
いばらを舌に
醜劣な魔法でごめんよ
幼生孕む脳

"バレエシューズ"
植木鉢に太陽
魔法使いのワンピース
花柄午睡
まぼろしもまぼろし
スプーン上の春

"ベルベット"
素足も雪の下
リボンは猫のため
降る降る生クリーム
凍りまつげも煌めかし
眩きは冬

"スカイライン"
今日の夢のつづき君が見たらいいな僕ら明日までは繋がってられるよ
太陽に赤い糸かけて昇らないようにずうっと引っぱってるんだ
宇宙時計を探してピアノの船で冥王星の辺りまで
この地面の反対側で呼んでごらんよ花束抱えて迎えにいくよ
終わったりしないよういつでも始まりがあるように笑っててよ泣いたりしてよ