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桜の化石の透けること
re:universe
時間であった流砂たち

ふりそそぐようにおぼれよう
ほどけない嵐のぐしゃぐしゃ
グリーン・ノイズ・モンスター

バースデイ・パルフェ・スイム
クーベルチュールで塗るピアノ
のばら・野いちご・野良のゆめ
ケトルを擦れば魔法のしろくろ
1つめの悪夢を右に曲がりなさい
キャンドルにいちごを生やして

斎火の輪郭が揺らいで
朱も紅も燃して耀くものへ
渾天にフィラメント
かつて灰だった銀の翅
緑髪に色を差す誉れ
花々の砦にて
金、銀、清ら
十六夜の尾を引いて
四肢ある瑩徹
変若つ雨の正体

真白を呼ぶ洞
割れた暗やみを知っているの
箱舟に乗せる花を束ねる
耳朶に吊るす白いまじない
静謐は常闇の音
其の影に火は蕾む
陽を塞いて星を落とす
みずうみに逆さの桜花
爪の先ほどの畏怖はきんいろ
ゆうやみに包まる雪片よ

すべての梢枝に朝が生る
限りの無い光を飲み干して
歌の終わりを手繰れないまま
ひとりという呼び名が似ている
黎明の苦い味
剥いだ全能の上で咲く
silence/blue/predawn
幻の値はマイナス
あなたより欲しい絶望なんかない
ただきみを巡る火をあたためていて

アイラブユーの大怪獣
後ろ手に隠したアイラブユーが
ベッドルーム・ブライド

レースカーテンを通せばすべて春
裾を縢る薄い雪
リボンがあれば名前はいらない

香水瓶が砕ければ流星雨
夜の尾を撫でている
神さまが眠たいうちに手を繋いで

音もなく割れてゆく花闇
いつか首に当ててくれた銀の舌
わたしを残らず結晶化して
満天の妄執がきらきら
ダーリン・フレア
花譜を汚して笑いあったね
永劫の二等分
「月はきれいでも燃えないじゃない」
手付かずの嵐を抱いてよ
光覚の瑕疵
名無しの指に歯の痕をちょうだい
慈しむように粉々にして

花を溶いたように潤む
羽化を待たずに染まってしまう
きみが星を拾い終えるための朝

檸檬の月を踏みしだく
こころとは胸に突き立てた油性マジック
幸いになる前のわたしを飲み干して

花筏のごとくたなびく静音
ブルームーンの空晶を舐める
錆びた名前をどこに埋めよう

ゼリー状の畏怖
朝陽を磔にしておくところ
鼻先の七つ星に噛みつきたいよ

瑠璃を裂く、玻璃を刺す
まぶたの舟に満月を落として
あなたがくれる滅びの糖度

鎖骨のくぼみに陽が溜まる
抱きしめても抱きしめても止まない音符たち
歌の代わりに呼んでしまう
すべての虹を吸って発光する
世界の色をぜんぶあげたい
チェリーまみれの頬を撫ぜたら
告白を3段アイスに潜ませておく
溺れてしまわないようキスを返すね
blink/kiss/kiss/blink

あらゆる傷を埋めてしまう無彩
ゆりかごよりも火の種よりも
ぎざぎざのラブレター片

ストロベリ・ムーンの火種
この胸がひかるから分かるでしょう
プラネタリウムの迷い鳥
レースの向こうのまばたきが言う
海を刺繍する頬
電光石火のアイラブユー
抱きしめられるだけの四季をちょうだい

シロップで錆びてしまうような秘密
ひびれからポラリス、レグルス、流星雨
ドレミの金魚
落ちていた光が群れを成して
「歌はいつだって宙を舞うのさ」

水彩を溶くように齧る瞼
雨が降れば聞こえないくらいの幸福
夢の手ざわりばかり覚えないで
舐めた血が芽吹かない不思議
夕ぐれを、金星を、うす紅を下ろして
セロハンテープで月を囲う
星図を回せばいつでも会えるよ
オーロラのすき間で忘れて

まつ毛に積もる星明かりを払って
くちびるはため息のヴェール越し
みなものひかりが向日葵畑みたい

わたしを覆うぬるい月
ベッドルームに海の檻
咲けないように歯を立てて
夜ごと胸に殖える呪文
きみの無音に取り込んでほしい

吹雪いても凍て付いても恒星でいる
慈愛で色を灯していくきみよ
名付けられた涙を放すから
見えなくてもひかるから愛
透明のリボンでだけ繋いでいて
うるさいくらいの彩度で抱きしめて
光彩が未来まで手繰り寄せるの

バースデイケーキに乗せる観覧車
ベガ・アルタイル・コンフェッティ
ルーフトップ寸景
色聴に花を見る
斧琴菊のコーヒー染み
生まれ変わったら飛行船
終夜アイスクリームを掘り進む
宇宙にもプラネタリウムを

マイナス100度のはつ恋
rejeweled
あわいの分光
手暗がりに囲う冬
絹のやうに変若つ真白
結び目のいびつを花に喩えては
100回前の生まれは銀色だった
プリズム・バリア
来世は人魚になるこいびと
色摘む指の半透明
サイダーで酔えない不出来
「消えないように燃えるんでしょう?」
夜の皮膚に歯を立てる
silvery partiality
とげとげのコンポート
淡い被膜/極彩の鱗
夏だったこともある指たち
リボンのかたちのお別れで
まよなかと同じ温度でいるために
拭われてゆく空洞へ
spangled longing
プールの波が孔雀に似ている
なみだに擬態するんじゃない
雷雨の味がしていた氷菓
睡りを泳いだ果ての落日
数えなくていい幸福の上
永遠をあかるいすべてで描くきみよ
ふかふかをあげたいきもちのなまえ
齧られたところから虹が出る
僕らすべての夜をふやかしておく
きみを塞く幅3cmの眩暈
晴天の桜を溶いたような嘘で
after the floating heaven left
発音記号の間に光ったのは
花まみれの不在証明
呪文が編まれた睫毛なのでしょ
雨を宿すための余白
遠くの夜がここへ辿り着くまでに薄まって
きみの影へ還ってゆく春よ
窓のような色彩のスコール
潮鳴りに錆がかがやく
白日の環を翳す
花に咬まれたままで生きて
どの足元にも青天を敷いてあげる
dazzling cordiality for you
空気のひびに色がついてゆく
つぼみと思っていた痛みのこと
今はもう恋だと告げてやらなくてもいい君よ
何もない、に乗せてゆく五感
ポケットに眠らせていた閃火
まなざしの波だけがきこえる
小指からこぼれた春がまた降り注ぐように
片白に潤びる夜半
ただ一つの明日を照らしてくれ
天国がうまれる日だったの
水底でも新月でも火を引いて
抱きしめられるとき見えるポラリス
胸の暗がりで収縮する銀河
霧散してゆく光の痕
missing naught
アラザンとスパングルのお化粧
記憶の泡あわを吸ってふくらむ
白雪さまよりハレーションより
暁紅を覆う薄ら氷
浴槽にも紙の月
雨の一音ずつ透けてゆけ
ユニヴァス・イン・アンバー
路地裏に湖底の名残り
やがて星の土となる骨のこと
雨のうつわとしての豊穣
目だまの色が何か汚すとして
遠雷を結ぶ陰
膚のうえの月暈
祈りを引くような銀の色
明け切らない朝を泳ぐように
プレゼントボックスの100の災い
爆音で歌われる容易い誓いたち
「世界も呪いも同じこと」の軽やかさ
睫毛のぶんだけ遠い隣人
生まれかけの音を撫でるような瞬き
結んだ小指の不自由たち
欠けながらふくらんでゆく春
これ以上薄まらない彩りの中心で
底なしの傷をずっと潜っていく
flavor of atmosphere
虹は溶いたら濁るのに
水平線の結晶化
乾いた目蓋を月が滑る
真珠様に潤む眩暈
水溶性の睡魔だったもの
文字状の百花
冬を綴じたままの綿雲
白昼ワンダーベイビー
写し取った色を盗めたらよかった
まるで創世のような白いろ
発光とは分解のこと
揮発、もしくは羽化
名のない夜を泳げるようになって
背骨を通り抜けていったスコール
まどろみのようにうまれくる季節
これは来世の代わりの魔法
君が生涯気付かない祝福をあげる
glitter quartz
琥珀糖を宙に放した
逆さまの流星槽
平らに色づいていく大気
音の鳴るアイスクリームフレーバー
水たまりに写し取るバックミュージック
レースもようで降りてくる太陽
リキッド・ハイファイ
テーブルの海底を舟がゆく
沈丁花が散るように痛いよ
空いた穴を埋める塩からい頬ずり
もうずっとちいさな雷と住んでいる
視界よりも広い余白で
雨を隔てて走るブルー
反射しなかった月を剥がして
エディブル・ジュエルのヘンゼル
出来る限りやわい水底で迎えてあげよう
呪いのかたちの永遠を脱いで

あおく澄んだインフェリア
夏の切れ端を撫でていたい
台風を乗せて歌うメトロに
望んだ宇宙を全部あげたい
色違いで抱くハートマーク
泣いていてもきみは鮮やか
息をする度絡まるオーロラ
雨夜の星が落ちきったとき
メトロポリスに虹を逃がす
あなたにわたし大の空洞を
ガラスに似た切なさの粒子
離陸するように抱きしめて

his twilit hyaloplasm
you sleep you
darlin' umbra
reach a blank
aurora's scratch
neighboring nightmare
grayish stars fall
end of your blink
a girl sinks in the air
nobody's hydrangea

きみの曳いた薄い海
リキッド・メランコリ
色彩という皮膚のこと
「キスみたいな足音になる」
濡れたアイスクリームみたいに花柄
あれは砂地のコンフェッティ
わたしいっぱいに注がれた透明

地下に染みてゆくべに色
頬を撫でていた空白
月よりも昏いなにかを忘れた
耳朶を咬むオーロラの匂い
希釈されている輪郭
この天国はもう晴れない
なみだでしびれたままでいたい

夏をめくるにはあと七色
掠れたまま動かない花火
小指が乾くまでの間わたしは天使
膨らむ星を宥めにおいで
アイラブユーが湿気ってしまう
迷子の海も踏みつけにして
「雷にイチゴの味はしないの」

雨籠
虹腐し
非飛行性
灰から宿る
水晶製の砂漠
いらないひなた
サイダー・トワレ
なめらかな嫉妬たち
揮発性セレストブルー
陽の溜まりを跳ね上げて
この窮屈を光に喩えないで
いつか僕らひとつで魚になる
神さまがいなかった真昼のこと

欠けた不幸せを補うように
背びれは神さまだった頃の名残り
絵の具を溶くために泣いてるの
淡くなるばかりのコールミー
なにいろだったら触ってくれる?
水びたしの三拍子
羽のかたちに汚れている
街をすこし濁らせた鱗粉
花を乗せたことのある電車
蒸留される無音
海を含んだスカートでまわれ
マーメイド・スクリーン
天使の輪っかは食べられたのに
種まきには向かない生きもの
バウムクーヘン由来の魔術
埋めてもらいたかった青がもうある
「どうしても名前をはじくの」
きみの影から落ちていく流星群
6月のゆうぐれは春の色
1秒ごと雲になる愛だったもの
輪郭のない告白たちよ
街路に横たわるフォーチューン
泡あわと自由の薬指
けものになって、こころになって
どこにもいけない野ばらのままよ
錠剤をこぼしたような水玉の上
はだしに結んでくれたリボンが迷子
くじらだったら雪にも見えたけど
無味無臭の歌詞をうかべる
squall in the freezer
うそつきにつけるロゼット
かなしくなれない欠陥がある
無地の爪でビニール傘で
つぼみのままでいてほしい陽
チェリーもレモンも実るのに
二倍食べられるバースデーケーキ
台風を隠したワンピースがゆらゆら
沈没しているジュエリーボックス
空っぽのものだけ何度も巡るね
レコードのノイズが埃のにおい
波のレースを踏んで歩いた
足跡がないのでわたしは天使
みなものような常夜灯
呪いのように脱げなかった光
覚醒を打つ空砲(5 a.m.)
空耳が剥がれてしまうよ
脆い脆い桜のにせもの
プリズムを拭ったあと
災い以外愛さなくていいと言ったのに
ghost step
朝と眠たいが燃えるグラデーション
お皿の五線紙を前に泣く
わたしは水たまりを生み出す女神?
お砂糖で出来た鍵だったから
羽と天鵞絨をもう見分けられない
acrylic earth
あなただった夜が鈍くなる
見えなくなるまで息が甘かった
帚星とかいう滅び
98色のパレードをただ見ていた
代用の太陽として正しく腐る
昨夏ダイヤモンドだった穢れ
皮膚だけに真冬を残して
水槽に捨てたオラクル
「濡れてなくても読めなかった」
「手紙にはお祈りだけ入れてた」
「どの無色透明がきみだった?」
むかしシロップだった毒
これは泳いで渡れない軋み
わたしとサイダーの中間くらい
雨が燃えたらすみれの色
夏をしまっていた目蓋が開いてしまう
monochrome euphoria
振れば鳴るブルー
カレイドスコープ畑の余白
泥で織ったチュチュ
きみのなみだに刺繍をしたの
黒髪の銀河
10000通りの旱
グロッケンシュピールの雨止み
ビニルの毛並みを脱いでもいいのに
まばたきには重いグレー
花片から輪、輪になって
つばめつばめ、宇宙のつばめ
いちごのかんむりは蒸発しました
センチメンタルの標本
夢の比重が傾いてゆく
かさぶたから海月が孵ったら
香水瓶をひっくり返したみたいな嵐
砂時計から芽が出ていました
ここは借り物の水底
光らない骨で生きられない
すべての雨を奪って白くなる月
行間に潜っていくイルカ
花束から溶けていく
逃げたオーロラをきっと連れて
ふたつの目では銀色にならない
天の川に似ている煙
仄日の浮標
わたしのいない青色の下

生まれたての四季がさわぐ
胸に不可視のまじないを光らせて
夢のほつれを引いたりしないで
手になじむ陽炎
ジェリービーンズ・ムーン
色もつ休符が頬を撫でる
きみが結んだたてがみを揺らして
名前のさかい目が溶けるまで
あら野に掬い取るひこうき
つくりものの悪魔が崩れてしまう
Alice on the rooftop
白いシャツがちょうちょみたい
ためらいに降る雨が止むとき
空室に春が残る
ストロベリー・シー
錯雑の美称
こぼれたシロップにつよがりを浸して
扉だったらしいビスケット
「火花を結んでくれないの?」
にせものの毛並みを脱いでよ
海を降ろした唇が呼ぶ
すべての温度を青く染めて
水底の星図を見ている
BPM:Rippling Wave
晴天へ飛び降りたなら
波のフリルで踊っていてよ
ミルフィーユ層に遠い雨音
デッドエンドでひろがる花圃
円環を逃げてくガラスの靴
いつだってきみひとり分の空白を残して
孔雀柄の影が揺らいで
しらない顔の初恋として
瞼ひとつ分の幸いを逃しているきみへ
春のような背骨をのぼる
百獣に歌う子守り歌
体温で溶けるくらいのとげ
ワンダーランド専用リボン
宝石質のマリーゴールド
お砂糖で組み立てた正論を齧る
破線のロマンティック
瓶詰めの葡萄と日なた
自家製のひだまり
胸の余白いっぱいの詰草
光を背負って砕けない強度
大人とはマシュマロの化身
まばたきのたび綿あめになる雷雲
雲のおなかが花の柄
小指で夜を曖昧にして
サンドイッチに挟むため息(いちごジャム風味)
頭上にふさわしい色の石
ふたり雨雲を隠して歩く
静脈を駆ける星をあげたい
部屋の外には世界が閉じ込められていて
ねじまきのポラリス
雨降りの陽をゆずり合う
シグナルの甘い味
透明なチョコレート毒
視覚に注がれる花の蜜
鍵穴のキャンディーが溶けくずれて
どんな台風も眠らせるひつじ
キッチンを満たしている祝福
半径1mの永遠
ホットケーキミックスに沈む変光星
薬指に花の轍
パールひとつぶ大の海
この歯車はメレンゲ製
スカートに写し取るパレード
願いごとの数だけ爪を塗る
吸った空気ごと胸に抱くから
どんな呪詛も祝福に変えて
きんいろを中和するお砂糖
きみの翳りで埋まるくらいの欠け
シャンプーで薄まる魔物
底に沈むチェリーのような濁り
スポンジケーキに慈愛を挟む
本を捲る音に似ている声
手首を廻る羽掃き星
カシオペヤ座をくぐる部屋
二重星の浸透圧
my little invisible
エメラルドでもいばらでも
「おかえり」を毎日あたらしくして
フライデー・バケーション
浴槽の檻から掬ってくれる
バルコニーに収まるくらいの地球
きみが明日を連れてくる音
くるぶしを渡る日付変更線
呼吸で点滅する紅茶色の闇
天使を覆うレースを剥がして
手のひらに朝、胸には夜船
枕元のちいさな木陰
「運命の人」と三回唱えて
流れない星を乗せてまわるよ
木漏れ日は花を描くように染み付いて
同じ午前0時の上で二人
僕らの今日を結び続ける
ふりつもる夜を一枚分けて
指十本で数え切れない幸福に
心ふたつで分け合えるくらいの未来を
It's a honey sunny day

ほどいたオリオン座でちょうちょを結んで

暗がりに撒かれる百色
とげとげがリボンにしか見えない
金星を曳いて生まれた

桜の波にリボンを浮かべて
絡まりながら膨らむつぼみ
幾百の街明かりが雪崩れて
やがて冬は二人の名になる
夕ぐれが君の髪に沈んでも
芽吹いた胸の底を撫でてよ
望んだ恋がとめどなく降る

翻り燃ゆ流星
常しえのブルームーン
流砂には花占いの残骸
電気水母と2段アイス
お化けのしっぽはリボンなの
どうしても虹は粉々
るすばんのあくまちゃん

群れ星のたまご
羽ある朝焼け
リボンの端っこみたいなはじまり
星形の空洞をその閃光で充たして
sparkle sparkle star sister
すべての色彩を統べるため
あなたが歌うと星図が色付く

羽にも水瓶にももう戻れない
くす玉みたいなα星
味覚以外の全てに甘いキャンディ
光ごと侵されて正しい色が分からない
心臓が招くからだよ

ひかりの裏側まで届く
雨音は羽ばたきより少し低い
深いほど青くなるエーテル
半分はまだ火になれない
マグカップで月は溺れない

キャンディクローで虹を引き摺れ
今日の火花はひなぎくだったね
金貨と綿羽
飲み込んだまま忘れてしまった名前
怪獣のためのやわらかい三日月

「無色すら持たずに生きてるの」
reversible brightness
彗星を連れて走ってく

咲かないためのリボンでしょう
例えば天使だとか望んで
花言葉は私が決める
嘘つくときの癖まで似るの
胸に春の不在
熱帯魚に歌を教えた
目に見えなくてもあなたは春
セブンス・セブンティーン
ビスケット割るような足音
頬杖には花かんむり

銀の省略記号
実を遠くへ運ぶため
異国那由多
イルミネートライン
海の縁はガードレール

ソーサーにはバレリーナが必要
一番星は野良だから
映写を待つ鱗
牙ある暗号
コスモス畑が墓標に見える
「ラメまみれの幽霊さん」
オーロラ被膜の蛋白石
あなたが感染してくれる空洞
呼吸の結晶
ビスキュイ・メダイユ

電光蛹虫
標本箱の天使さま
荒れた胸にもばらが咲くこと
眼窩に似合う誕生石
ソングポストの花守
飛行船の歌う尾を
フィッシュボーンに生る真珠
薬指にちょうどいい蔑み
グッドガールダイナソー
ソープディッシュの三日月
あのときオリオンだった灰
猫の上に城を建てる
鈍色を育てるのに長けた指
背高天秤
水槽満杯のニルギリ
ひとつの楽器にひとりの小人
小宇宙を内包するミントタブレット
花の手足を千切って占った恋
ささくれに引っかかるゼリービーンズ
本棚にはドライフラワーが丁度良いくらい
名前にまで四季を背負わされる業
黒胡椒だって生きもの
紅いのに金だと云うフリル
射手座サーバはもう満員
ティンカー・ベルは門番の恋びと
乱反射しながら改札を抜けてく

羽毛のようになみだを弾く
海に積もる雨
ネオンの痣
たましいは体のなかで浮いている
さかなを食べても泳げないなら
銃口からたなびくオーロラ
ベッドサイド・グローリア
なにもない光を尊ぶ
水中都市に幻獣を飼う話
深海魚と金のたてがみ
きみの孤独は綿菓子に似ている
雷鳴のさざ波
痛いことだけ甘かったような気がする
あなたより春に近いいきものを知らない
羽根のように軽い冒嫉
光を薙いで火を吐いて
花束の背骨
輝きばかりの荒れ地にひとり
干からびてないで何か正しいことを言って
寄生する銀河
点描の騒ぐ光のなかを
角は水槽
イレブンエイエムスプラッシュ
胸はうつわ、その涙を受けるための
水彩画の被膜に歯を立てて
バルコニーに降る銀鱗
10 years plus you
ロリポップは肉食か

つぼみが丘の一等星
ソーダファウンテンに潜水艦
やさしくない日の甘い味
flowerd scar
ラメ入りの憂うつ
花の名前の化石
泣いてるの、咲いてるの
perfect dear
「とげは未だ薄い恋」
なんてかわいいしあわせの音

幸福の擬人化
照らすために息をしている
この傷も結び目
コットンとべっこう飴のライオン
耳もとのオービット
あなたのために桜が孵るよ
すべての雨から守ってあげる
極彩のかま首

わたしは檻、透明の、鍵のない
101.5回目のアナグラム
きみの手にちょうどいい愛しかない
1782mmのサテンリボン
春とはおまえの呼び名だろう
海底の盲目に陽を満たした
わたしの愛をいちばん光らせておくから
四季を溶かして会いにきて
雨のように窒息させる
フェーヴのための歯が生えた
玉座よりもやわらかい繭
抱えきれなかったのが海の由来
がんじがらめの巣をほどく
わたしを春に結う金糸
惑溺のお手本
深い深い春
きみがいないと何もすきじゃない
いつも春まで辿り着けない
冬の底に花が降る
泥の海でも光ったでしょう
今朝平らげた幸福の切れ端
シーラカンスの調教師
きみにだけ効かない毒だよ
粉々の火になりたい
朝焼けみたいに呪ってほしい
愛なら百点満点だった
金色はまじないの色
「神様ならさっき踏んじゃったよ」
心を嵌める台座
醜くしててね
陽が睡るただひとつの場所
胸の砂地に招いてほしい
触れると火になる類の永遠
私だけが金色になれる
栄誉も光も作ってあげる
似合いの連りが見つからない
36℃の湖だから
骨にもあなたの名は付きますか
恋でも愛でも焼け野が原
粒子ひとつにキスするみたい
愛してるから輝かないで
神さまよりもきみを愛してあげられる
どうかわたしを火に喩えて
おまえにだけは透けていられる

日なたに匂いなんてない
正夢の方角
「キャラメルに補えない欠けがあるとおもう?」
まばたきの数だけ幸福が笑うよ
翼は手のひらたちの名前
south wing "sunny spot"

わたしを羽と呼ぶ理由
my super sweetheart
「花は一秒間に何回瞬くと思う?」
すべての0から守ってあげる
high mind shining

呼び名が身体の中心になる
見慣れた余白を囲うため
忘失に結ばれている
わたしがあなたでない証明
2000ピースの永遠たち

水際にて希みを浮かべる
発泡していくモノクローム
エデン十六番地の花売り
「目のなかのとげとげは全部呪文」
骨だけがいつまでも透き通らない
a holey fairy tale

心よりまるいものをみせて
ぼくの鍵穴は鳥の形をしてる
星座の番い目が錆びるみたいに
まるで絵の具のような砂漠
深海魚と香水瓶
a highly toxic blessing

シュモクザメにリボンのめかくし
羊水は翡翠の溶液
いつかやさしい火星へおいで
冬を降らせて春を潰した
君の淡い牙だけが僕の平穏
heaven in the air

ポラリスを引き摺った
泥のアウロラ
もっと卑しく光ってみせろ
歌を折り畳む術
可燃の痛点
impurity in the wild

火をくるむ花
石ころが透きとおる角度は
七つ星と甘い水
「魔法のしっぽが見えてるわ」
春の伝播

甘いお菓子で悪魔が釣れる
この声に歯を立てろ
「食べられない悪なんてある?」
これは魔法の堆積
マイスウィートエイプリル

ひびだらけの、手のひら大の
エディブル・ロゼットを逆さまにして
舌に甘い破片
身につけるタイプの幸福
林檎と桃とカスタード
おやすみなさいをあげてもいいよ

プラチナの透明度
手を伸ばせば届きそうな前世
孤独は薄く脆い鱗に似てる
天秤とダイヤモンドと紙の屑
或る獣の清ら
my splendid knight

花言葉を束ねた追伸
お砂糖の海で逆さまにして
ドレンチェリーのハート形
花に埋もれて分からなかったよ
はじめて生まれた星よりも
high sweet lulu

jeweled rocket
たいくつを燃やす火の味は
この星は撒いても撒いても無くならない
メビウスの七色
お腹が空いたら歌えばいいよ
the brightest bravery

ビフォア・ダークとアイボリー
胸の内側で羽ばたいている
ここは出口ばかりの迷い路
幸福みたいに花が降る
「砂漠は星よりずっと近い」
a candy wrapped in the night
ダイヤモンドにみえる角度

羽をたたんだ天使のかたち
海も器のひとつと言う
手のひらはちょうちょ
よろこびの翻訳家
束ねた未来をひとつずつ降らせた
the top of joy

まなうらのポルカドット
第六感はロケットよりも速い
あかるい名前の戦闘機
指で描く花まるの勲章
わたしという国境線
a playful shield

ガラスギアーと太陽熱
花なんかどこにも咲かない
百獣の天使さま
輝く全部を差し出して
砂漠に与えた宝石の名
diamond F

あなたに見えない暗やみなんてない
燃える星もひとつの影なら
たてがみの錯視
胸は青く薄い器
ここにもあなたが光った名残り

あなたみたいな虹色だったよ
君が光れば星は落ちない
月を浮かべて火を消して
痣に花芽の生うように
瞬きの間にここを幸福で満たすから

発泡性2am
奇跡は食べてもおいしくない
天使の幼生
砂漠を踏みしだく花芽
嵐の正しい呼び名を知ってる
summered blue

何にも傷付かないあなたでも護るよ

満天の星がうるさい黙っててほしい天使が眠れるように

閃光を連ね灼け
砂粒大の猛獣ら
ヒーローの胸にも同じしるし
ぼくの天使を愛してほしい
金の卵の背くらべ
楽園の嚙りかけ
ここではあなたしか飛び方を知らない
雛、雛、星、雛
super wonder highest

着陸点を持たない流星
純真の螺子を巻け
夜の端を掲げた

100人目の君も笑って
虎にリボンを見繕う
ガラスの細工みたいな呼吸
雨も酸素もきみのかんむり
統べ嗤え

キーボードCのましかく切った爪おととい君が浮かべた三日月

ひなたで月を引き摺って
傷のすきまで蛍光する石
獣と天使の足し算で
種子には花を閉じ籠めてほしい
背の向こうで春がはためく
a brilliant dizziness

詐りに歯を立てて
まばたきの間に星を降らせておく
夏から冬を沈める錘
遠いところの良く似た孤独
うつくしい蔑称
caress ferity

あなたのいない月が光らないこと
春を抱いたまま眠ってしまう
解語のアメシスト
清冽な欲望に浸されている
花を弾いて火を連れて
your ardour is in full bloom

裏返しても逆さにしても天使
一千年を彩って
7分の1のフルムーン
あなたが撫でる暗闇が好き
邪が羽を生やす

オリオン座も君のひとりだ
あの狼の眼の水晶
踏み均された真冬

冬を吸い上げて羽化した
あれは星座ときみが言うから
幼びた半透明
一枚ずつ奇跡を剥がして
利き手を魔法と呼ぶように
fortune covering the jinx

二日月の染色体
お前を救う火になりたかった
手のなかの回転体
君をぬくめる雨になれる
光らなくたって金の雛
newborn infinite

歌わなくなったら息をすればいい
「あなたが宝石?」
白くてまるい生命を
好きにしていいがらくた
断崖にて花飾り
春のほつれを掬ったら
この魔法が痣になって百年残ってほしい
the vernal dimness

硝子質の翅を展げた
牙も鬣も綿あめみたいに柔らかい癖に
あなたより美しいという再生のこと
オーバーチュアの光度を上げろ
手のひら大の奇跡の堆積
scattered day flicker

神さまの名残り
底のない輝脈
孤独も積んだら踏み台になる
果ても透明も眼の中に隠して
抱きしめるのにちょうどいい猛獣
a lovable monster

獣が天使だったころ
毛並みのよい呼吸
わたしの心臓を寝床にした
his immaculate spell

花柄の邪悪
蔑む眦が宝石みたい
砕け散っても崇拝は漂うから
つめさきで虹を潰した
完璧な曲線の集合体
ultrapellucid

こんな惨い明日を希望と言うお前
右心室の青い夢魔
お前のいない光に名など要らない
空白を与えようとした
永遠は色相環のなか
a colored blank

名前を浮かべた水を飲む
あなた以外の正しいことが思いつかない
尊厳の蛹
pupal cogwheel

魚が種を生むように
色素を海に還したの?
珊瑚と大樹と白ラブカ
フレイバーバブルス
吹けばオーロラ
粉々のオペラガール
リボンを辿れば会えるよ
鏡も真珠も化石も織った
百年みたい
恐竜のまえに泳いでいた水
帰るところは星でも花でもない
肋の中でクオーツが発火した日
以来わたしは鱶なのです
永遠は眠るもの
ここでは皮膚だけ鎧なの
きみが塩からいのは海だから
隕石の入水
カレンダーに流星群の襲来
獣のように星が降る
傷とは扉
鍵穴とは瞼
きみだけに見える罅
これ以上濁れない
夢で見るより粉々
砂には月が潜るか
四足歩行の明晰夢
王様の耳はだれの耳
昨日葡萄が生ったでしょう
複眼のロリポップ
唇の隙間に街を飼っていた
神さまよりも透明だった
ずっと頭上で迷子の太陽
銀が降って金が浚う
食紅ばかりの湖に
水槽には雨の番い
水底にて雲を嗅ぐ
金魚が肌膚をねだるので
スパークリングホログラム
心臓番のターコイズ
嘗て砂漠だった無音
海中鈴虫
水母越しに歌を聴く
ロジカルノア
こんな星は空洞だと思う
心臓を持つという下賤
肉食の火がまぶたを伏すので
きみが夜を振り下ろしたら
埋みながら発光している
香水瓶の豊饒
種が魚を産むように

その冥闇には舌が有る
水母にはアルミの脊骨
百舌の王
雨の胎から生まれた
あじさいは複眼と云う
呼気が雨を成した百年
浅くやわらかい無間
お前の砂漠を掬っていた
隠り沼の嗣子
薄闇に化けている
夜を引き摺った跡
絹の鱗翅を振り翳す
幽霊船の英主
舐めると甘い煙
イージーノウ
レイジーノア
夕立に似たこども
歓びを塞いでいた
うつせみを模したる目蓋
神様の色違い
化粧う痣
堆積する白夜
クロルカルキで海が満ちる
砂棲の鯱
流砂に竝ぶ芥子
不道徳にも実は生るか
プラズマ群生
虹の粘膜
雷鳴の手ざわり
お前のまじないなら睡れた
万華鏡に似た耳鳴り
トキシックチェリーコーク
透き通ってゆく泥土
水を重ねて舟を織る
花布と水瓶
羅紗の鱶
丹色は炎を棄てるため
澱みの更紗
暗やみに綾の煙り
磁化する知悉
幽霊と火のあいだ
ストイシズムが歯牙を持つ
天文に錆は生す
落日に怠惰の譽れ
鱗ある鵺
侵蝕が菌糸を伸ばす
浮雲の斜度
肋に種を忍ばせる
疎懶積もりて冠と成れ
神話の一筆書き
おとといのお招きへ
斎庭の回路
absolutely bewitching
気化した修羅の名残り
手底に極彩の春雷をひろげて
雨抱くアンバー
コンテンポラリー・シャングリラ
落花と蛺
お抱えの怠惰
テレパスに同化する
卑欲が甘露の美味なるを
百色浮世の敷衍
展翅場百縁起
プラスティック痂皮
山猫は金銀更紗の毛並みを以て
紙片の陽も蝕ゆ
鬼孕む蛹
火種にも時雨る
蛇の結び目
叡智を継接ぐ
バニラフィルタの不透明
朝と夜とが裂けていく
極彩色を注ぎ分ける
金襴の膚
在りし陽の腐蝕
言祝ぎの骨が嗤う
眩冒百眼鏡
spooky sugar fizz
虹の毛並みを撫でている
いくさ場の余白
灰の斑らを総べること
ぬるいネオンが朝を這う
渦状の卑欲で彩られてく
まじないはラグドールの毛並み
虚ろの咎にも紅を引く
敬虔な燃え殻
日照りの檻
輪違いの呼び名が継がれる
虚に積もる常春
真火が毛羽立つ
泥のキルシュが結晶してゆく
山椒魚と夾竹桃
庭持つ瑪瑙
彩度ある電磁
色取り々々に盲ひたる
錦眼鏡の種を売る
耳鳴りの祝祭
尾ひれのような椿ども
夕やみをひび割りながら
辰砂の海が広がるばかり

花で描く呪文
その骨より美しいものを知らない
慈悲の獣
泣かないでわたしの悪魔
この胸は柔らかい砂礫

翼の重さを教えてほしい
咬まれたら遥かにゆける
あなたがいつか不透明だった日
蔑みが研がれてお前を刺すのを夢みる
とげのある苗ばかり拾うの

痛みの種が孵っても
君に被せる日照りの王冠
その青が日ごと透けていくように
音のない遥かを歩いた
止め処ない光を掬って過ごした

空洞の月をゆく
おまえが完全と言った欠落
その寂焉に嵌る崇拝
偽っても有翼
水面を打った無垢

銀や虹の色に砕けて降った
ぼくらの頭上に天使はいない
ウォーターシェルター
尊い名の付いた暦
膨らんだ崇拝をせめてお前が踏み潰して

不可逆が降り積もる
研ぎ磨かれて澄む穢れ
君のよこしまがどうしても必要
ひれ伏すためにあると思う
きらきらの傷口
こんな肌膚に名前を書いて
海をぶら下げて笑った
欠損まで完璧な角度

いずれ発光する石くれ
地球を階段の2段めくらいに思ってた
まだ生え変わってもいない羽毛
呼び名がつぼみを付けたまま
星座の雛が鳴くのが聞こえる?

暗やみのマスターキー
君はきっとどんな星も美しいと思わない
鳥を空ごと捩じ伏せて
流線型の美しい嵐
カーヴを伝う悪魔
ダイヤモンドは泥砂で睡る

住む星と同じかたち
真昼のマイナス星座
紙片に崇拝の信号を打て
悪い夢を飼っていたね
摘んだ芽がどんなに光るか知りもしないで
血にも水にも狗にもなれる
ワンダーボーイに祝福を

癒されたい孤独なんてない
きみは世界一の化け物
遠く昏い水底にきみは届かない
羽を容れておく器
あなただった雨を好き

輝きを食べて過ごした
全能なる無垢
絵画の孵卵
色が生まれるところを初めて見たよ
正夢の骨組み

アクリルの鬣に透けている
在りし胸の空洞
道なりに金色の雨が散って
アトモスフィア・ハーヴェスト
雷鳴が澄むほどの神聖
棘を食べて育つ獣
神さまがうつくしいから大丈夫
泥の海でも君はきれい

毛並みに金の芽が生える
ハレー彗星になるまえのひと
「マシュマロみたいな牙」
青ければ青いだけ光
やさしい骨と何もかも

薄いエメラルド膜のひび
甘く硬い氷河
光の触覚をわたしに伸ばした
更の星の退屈な獣
こんな皮膚を海だと言って
羽毛に火が降る銀が降る
種も仕掛けもあるオーロラ
この国に鍵穴は一つもない
花という花を燃やして、その灰にわたしを横たえて
いつか三角の星ぼしが落ちる日に

鎌首もたげる透明が
有毒のシロップ崇拝
あなたが甘いというから甘いと思う
形あるすべてが冠だった
星の皮膚にひれ伏していたい

牙の透明度
どこまででも透きとおる邪気
きみにだけ羽になる棘
綻びを扉だと言う
シュガーコートの蛹

半透明の花々
火傷が模様になるときに
坂道とハレー彗星
お砂糖を百ぺん降らせて
海を燃やして結晶した
天使の温床
珊瑚からダイヤモンドへの階調
アンチック・ハーヴェスト
くるみと雛鳥
屋根裏部屋には魔女がいて
曇天にフィラメント
色を選ばず濁っておいで
ジャム壜に星座を透かした
sound puparium
惑う、廻む、発光する
溺れる暗号
リボン代わりに火をあげる
アナナスと野良の犬
泡を指輪に喩えてた
ソーダ水中の野ばら
とげ持つ虹たち
ゼラニウムの液糖
プリズムと映写機の卵
浅いうつつがふくらんでいく
平らな祝祭
おわかれの薄い輪郭その曲線
ポルカドットの鎌首
逆さまにまばたきをして

「グラシン紙ならオリオンも棲めるでしょう」
週末は月の真似をして
睫毛のふるえを、まなうらの降雨を
ノスタルジアの平面図
「いつか物語の羽化するときに」

やさしさの上澄みの
ここには可燃の種ばかり
嵐の底のやわらかい羽毛
薊が原心中
不毛のよろこびに横たわっている

星の下敷き
にじいろにひかる泥
鍵を持たない莟
慈しみさえきりきりと咬み千切っては
触れられない場所を護ろうとしないで

熱から這い出た水晶たち
影がひとの形をしている訳
輪郭からはみださないで
光るのはわたしの臓腑の滲みだけ
ほかに透ける胸などある?

まじないの習作
私を水槽と思えばいい
恋だったこともある空洞
ルビーの城へは何色の道
他所の鍵を飼うような愛し方で
皮膚でわたしを隔てないで
硝子が世界の果てだった日がある?
ポラリスの鋲
標本室の日なた

牙と魚雷と金平糖
ワンダー・リトル・ヴァーミリオン
黒点だった骨の盈ち虧け
野良の天使の毛皮の金色
花喰いの幼獣

呼気は白、積り、侵すための
綿菓子とキディビター
knot or not, my fellow
羽根より重い
奇跡の呼び名を閃いた

翡翠緑玉エリキシル
五感に触れる種を蒔く
真珠の粉々
臼歯で愛でる
空気の宝石

光を燃やす種になる
一千年死んだ猫
裂かれては翔んだ
澄み、奮い、喰らえ、常の罅を泳げ
海と灰が同じに見える

星が降ったら焼け野原
ジュエリーボックス密室殺人
仮想の火でひとは死ねない
盲いた胸にも歌は見えるの
毒薬スターリーフィズ
長い呪文を祝福にかえて
永遠というたかが欠損
ダイヤモンドを喰う獣
わたしの名は現象
嘲ってよ見放さないまま
がらくたを光らせようとした
割れた硝子を宝石だと云う
「魔法使えるようにしとくね」
今日も愛してるが言い終わらない

オーロラが皮膚から蒸発してゆく
ユニコーンは透明の化け物
鯨の腹に夜や魔法が透けて見えるよ
スパンコールの群生地
呪詛は花のなり損ない
春のあいだ冬はわたしの心臓にいるのです
名を呼ぶとバニラの味がする
星を吐く蛇
宝石に金と銀の刺繍
眠りのすきまにひかりが注がれる

記憶を埋めるために嫌った
砂のように失っていたい
おまえの不幸がかがやくといい
羽と魚とポルターガイスト
空洞にも花くらい寄越せ

月でも蓮でも臓腑でも
桜は白いと識る
癖字のちょうちょ
寄る辺の憎悪
虫けら宿るガーデンクォーツ
42gでひと束
好き嫌いあいびき
写真の端に紅茶の趣味
半分ずつ憶えれば
傷がまるでイニシャルを彫ったみたい
未来にも死因はただ二つ
「おうらみもうしあげます」を睫毛で
灰か雛のどちらか
負けたふりができる敗北
残り全部で花を買うのだ
指きりで灯る
動物に喩え合おうよ
きみの最初の呼吸を見たのさ

この罅の名前は「 」
夜を戴き夜を踏む
賢くはない孤独

四季は水流のまねごとをして
ガーデンヴューに鯨の水槽
月は土くれ
獏には上等の綿菓子
傘たちは地図の上

モルタルコスメティック
幽霊の尾ひれ
爪の色が唯一燃えない
脱げば純銀
マイナスラグドール

幾千かぞえてもお前のための指
砂礫の遥かに生まれ落ちた
猫睛石と星額
まじないは眠らぬ術
この心音がお前の罵るひとつだよ

心臓、またの名を太陽
神さまはたてがみに棲まう
模倣は実が生るのに似ている
遮光の殻は甘い
すべての樹の芽は平らな子ども

この心音を解いたら眠ってもいい
ふるえを持たない夜の在り処
耳殻が羽のふりをする
欠遺ごと束ねられたいよ
わたしの待つ果てなどない

透けるものはみな幽霊
肋骨あたりにいる種火
舌の毒が回るころ
お前に見えない骨のこと
傷とは最も容易い永遠の名

化け物たちの恋人
そんな薄い胸で理などと云う
チシャ猫の撒き餌
恐怖も畏怖も愛でたらいい
わたしのかわいい七不思議

君に似た薄赤いてのひらを唯一すき
獣のように正しい
陽にも月にも火にもなれる
百年ののち一面の光
鍵あるいは牙

夜を矯めるため
失望は生命を容れる殻
対の影など有りはしない
林檎と鱗とフィラメント
「夜の上に朝が降り、夜が朝を圧し潰す、いつも」

羽喰いの鰐
綿布か皮膚
災いの見習い女
燃やすのは山羊のため
英国娘の雛々

木菟が琥珀だった昔
渦は片手に持てるだけ
チョコレートの解熱剤
苔は生すぬるい星
憎悪すら均された砂漠よ

まるい呪詛
襟元に文字のブローチを刺してあげるね
「焼け野原です」「おまえの火です」
あの火がオーロラに見えたの?
憎しみらの傾慕

使われない天国のこと
君も兎も夜叉も金色
オパール智歯
いとおしむべきまひらの子
額白は神さまの痣

方舟に幽霊も化け物もない
人工舌が流砂を掬う?
籐の蛇
胎に街の脱け殻を持つ
再生体にも水ばかり容れた

虹で首を括れ兎たち
ハローと花とラブレター
君の心臓にこぼれる銀河
カシオペア座に寝っ転がって
退屈じゃ死ねないけどまだ足りないのさ

失くし損ねて夜になる
非道ばかりが君を救うね
爆ぜる春
心臓に降り積もる
鏤められた閃光をあるく

30cmの流転
生まれつきの円の中
波打つビリジャン

神様の歯並び
海を掲げる
雷鳴の裏

君と宇宙の公約数
叡智に触れる唇
天球の傾斜

背骨を通ってゆく神さま
君をとりまく粒子の縁取り
土を撫でて夜は増す
平たい雨を抱いたまま
universe on the finger

紺と金の喪服
反射光にまじなう
血の通う椅子のささくれ
白チョークを食べたよ
オレンジの立方体

まるい背中が火星みたいだ
すべてのつむじに夜明けを運ぶよ

とげはくだものの皮膚
短いまつげに夜を下ろして
磁極には桃
爛れた不可視を何と呼ぶ
蛍光色で拡がってゆけ
穴だらけの完全円
掃き溜めにも種を蒔く
こんなみにくい底を浚って

てのひらの緑からうまれおちた
骨の芯だけ翳っている
種も芽もお前の名でしょう?
ちから持ち得ぬ獣の使い
果てはしない雛

形あるまぼろしは百の色して
どんな睡りも手の中にある
逆夢とシュガークラフト
わたしたちは等しく賤劣
ジェリービーンズの孵化

昇らない夜に棲む数多
かがやきを持たない生まれ
ここから星が丸いのが見えるよ
こんな擬態をどうして讃える?
希みの輪郭を明滅させて

春を厭う性
細胞は夜を置く台座
毒いだく玻璃
お前が醜穢と名付けた花々を
光沈む手のひらに

コットンパールと沈丁花
冬を踏み均して穢す悪魔が
硝子壜の脱皮をみた
本当はしっぽはふたつ
クレームブリュレは正夢の外殻

嫌悪と忌避の蝶々結び
365の空白がお前のものになる
こんな甘ったるい凌虐をわらえ
毛並みはホイップド・クリームの喩え
ひとのかたちの望みそのもの

月よりまるい私の目を視ろ
すべての下賤の王
這うこと、覆うこと、飛翔とは
完全体の片割れたち
私はお前になりたい永遠だった

ましろい苗床で泣くのだ
サテンリボンと色のない夢
孤独の具象が乳房と知らない
断たれた髪さえお前の指よ
統べるものを愛と呼ぶ

呼気を喪う絵画の並び
海の眺望だけが希み
悪意と文字で糸は縒れない
ポケットユータナジー
わたしの殺意がいちばんきれい

方円の害毒
闘魚には月桂樹
象られてく架空
恵まれた眼で泣く侮辱
お前が要らない全てでぼくだよ

崇尊の石化
ドーナツショップにアンモナイト
水に蛇を彫る
繻子縫う蠍
雨では咎ばかり光る

列べられたサッカリン瓶
砂の牙歯
呪いのじょうずな恐竜さん
硝子は海のこと?
ギンガムチェックの化石リボン

指はたった5つの卑罵
自我は薄い膜
果樹もすばるも灰の類
海獣と泥の積木
悪い夢にはぬるいスプーン

衝動の延長を踏め
くるまって君を恋う
世界でいちばん柔らかい火で
みんな並んで食べられたい子
夜が明ければ大気も視えるわ

打ちのめされない初恋に
迷うのは紛い物のあばらだからですか
ガードレールに欠けの月
有限の下に箱舟
苔の生す胸

子午線では気球にもなれたわ
矢印が息づいている
貘の半分を見ていた?

君が摘むための恋だよ
狼には真珠をひとつぶ
虹孕むファインダー
我が侭を均してね
春は常闇

とげを研ぐむすめ
嘘よりもずっと遠い

惑星の花嫁
海が君に頬を寄せるの
ひとつかみの衛星を撒く
スーパームーンは髪に拠る
君が泣くたび月は減る

色のない繭
まつげは砦
有限を織る

反射光の轍
立方体にて水面を仰ぐ
唇より近い声

眠りの際で石化をはじめる
化けて出た色や恋
手のひらで孵すオーダーメイドの硬度
半円は宇宙のふちどり
かみさまの座す額
いいにおいのする悪夢

透ける青の群れ
欹てたお耳にこんぺいとうの瓶を振る
I saw the shine in your shadow
五線のためのアルファベット
綿花と犬歯と放物線

網目から蛇と苔桃と弦がすり抜ける
天井みたいな加護のこと
撫でられたい骨
隙間という隙間に春は蔓延り
螺子巻くヘヴンリー
樹脂隠り
プラチナ被膜
蔑むならば流線型
ベッドの下の野良の文字
舌の上には神さまの群れ
月は三毛猫の成れの果て
消失は穏やかに薄らぐ
幼気な傷の柄
知らずプリズムをふりまいて
痛んだってがらくたの胸
いないのは祈るのと似てる
わすれることは象嵌とおなじ
持ち歩いてたむかしがはじけた
君の前では蛇だった
星ひとつで隔てたつもり?
告白はカプチーノに浮くか沈むか
てのひらにgoodnightが煌めいている
けだものか生まれ月の結晶
楓の毛並みに埋もれる毎日のこと

真珠層の膚をもって
雨は海だという鱗翅
平らなこころにサイダーを注げ
胸は便利に瞬くものね
触れられたくて光ろうとした

更紗被毛の継ぎ目
石英に芽を鎖す
瞼は月面
花染めのハードシュガー
エディブルジェムと薄荷草

wandering fragment
百色破線
秒針なら食べてしまった
わたしを縫い留める一面の白
大気の群晶が見えるよ

バースデーキャンドルは宝石だった
眠りの中だけある名前
カップ底に銀河を飼う
プリズム折り紙のモビール
一筆書きの星ばかり降る

モスコミュールアンバー
瓶に沈めた陽が泡立つ
触れられた頬に夜の降りるよう
じょうずな嘘ならサテンでくるんで
反射光が窓を打つ

明滅するくちびるに告ぐ
あしあとを星座線として
たかが手のひらが光ればいい
文字の匂い、転がる宝石、双子のたまご
しあわせも君のせいにしたいよ

テラリウムに流星を
宇宙が透けているからだよ
窓の城
相応しい容れ物が息絶えない
現象の標本が立ち列ぶ

はだしの下で屋上が発泡してゆく
髪が伸びたら波にもなれる
夏空にもラメを撒く
眼の中の飛行機が痛むのです
まだわたしたちが不可視だったころ

この満ち干を恋と呼ぶのだ
朝の手を引いた夏
太陽の砂糖漬け
彩りの発音を知る
幸福を平らにしたらこんなふう

罅はふたつになるための
束ねなくても春だった
ムードリングのむすび目を
まるくなって眠る陽
透明の粒子たちをきみと思うこと

光沢のたてがみに雲母を散らす
叡智だけを視る目玉
虹がねむるためのうばら野
正四面体の内側が海
光を吸って個になるの

その劣等はプラチナに光りぼくらを浚うけど
本棚でやがて押し花のように乾く恋だ
唇とはきみが触れた痕のこと?
冬は真白い胎
シルクか花布かブルーフォックス

この誉れ高きビスキュイを見よ
純銀の靴で果てへは行けない
毒なら毒のお作法で
すべてが標べになると教えた
お菓子も呪いも半分ずつよ

まぶたを這う彗星たちが
チョコミントが舌を撫でてった名残り
羨んだ花さえ樹脂だったから
幽霊が咲かせていった
染まるために空洞の胸よ

ステンドグラスに夏が降る
星図の下のセヴンティーン
頭の中の銀色の錆
君を満たしたさみしさが蒸発してゆく
陽の溜まっていたあと

空の胸でウィンドチャイムが鳴いている
凍りながら光る星
フォーチューンインザプール
硝子の泡つぶが散らばって
どこかにあった奇跡のあと

まだ若い朝焼けの音
こころだけを色にして
これからばらを咲かせる獣
耳たぶのお化粧
ミルフィユに珊瑚を、柔い歯車を

骨のかたちが星座みたい
いつかドレスが尾ひれだった頃
ほんとうの名は呪文なのです
硝子を海だと思ったの
すべてのなみだは樹脂だと云う

この街は均された灯の連なり
車窓を覗けばいつでも会えた
永遠の二等分
猫の尾っぽと同じカーブで
海を瓶に入るだけ

アンティックユニヴァース
真珠の生る耳
インク瓶は鯨の水槽
涙になるまえ雨だった
3amのぬるい生命

雨のひとつひとつ魚になって
天窓に銀粉の降りかかるを見る
プリズム乗せた観覧車
鼈甲飴の鍵で開く
ホールケーキに果樹が生う

すべての額に王冠を持て
溜まる陽の気化を見ていた
重たい光を背負うため
家路も未来の類という
ソーラリアムに日々が降る

花の氷点
喉を滑り降りてく連星
祈るために瞼は白いの
思考する幻日
双曲線が溶けたあと

この輪郭は海の歯型
満ち欠けを与えあう
落花ころがる土の上
静謐の手ざわり
ホットケーキが熟すまでは朝

音も色も牙で触れるもの
更紗の目だまに映しとられてく
水晶硝子の花柄背骨
スイスチーズに小鳥が棲むわ
海跡湖にもお祝いの星々を散らして

ダイヤモンドの裂創から
夜の切れ端にアラザンを振りまいて
少女のころ薄青かった胸のこと
面紗に映る星々
時計の核の透明度

文字を結晶させる術
息のない恋が色を持つ
魚とツバメにタフタリボンを
雨で埋めるために失ったいくつか
纏う粒子の手ざわり

バニラロゼッタの食べ頃
箱庭に珊瑚を接ぐ
多面体スペクトル
kaleidoscopic envy
胸に水晶を散りばめては過ぎた

織布製香水壜
色を迷う遺伝
雪も実るものの一つ
折り畳まれたひつじの海
反射光を縫い連ねる

春は雷孕む花
毛並みに潜む変光星
名前の枕詞をきみに
四季の継ぎ目を教えあう
シュガーコートセヴンティーン

孵化をまつ卯月も来ぬ
幽霊は月の怠惰と似ている
瞼は盾で睫毛が矛
頭蓋の内は水母がおります
オラクルオービット

暗転もブルー
皮膚にイルカの棲むようよ
真昼にも透ける星座表
眼のうえに雨の駆けるのを聴いてる
鯨のふりする教室にて

砂糖に浸かって過ごしたからね
ソーダファウンテンにはバニラの山脈
エメラルドの色水
唱えるならば銀をひとふり
変わるものを色と名付けた

予知の鋳型
翼竜は莟しか食べない
智慧とは海の四面体
明日がいちばんきれいな未来
すべての不可視はユニコーンの足あと

夜を覆うスパングル
窓辺を揺れる闘魚の尾
水彩と混じる熱
三百六十六の季にて回遊す
オーバーオーロラオーガンジー

うつくしの渦のなか
さ青に憑り坐す
灯抱く萼
夢を置く繭
糸降らすは神さまの指

星に沿う海の背骨
有鱗のスコール
音叉のためのダイヤモンド
いつか月がわかれる場所で
10cm四方の透明の上

振りかざしてオーリーオール
冬は輝度の外殻
半透明の六等星
水晶もただの塵
瞬きなら3つで夜明け

地中には雛
子午線を丸める
あたらしい方の誕生日
糸も霞も花の対
春を縒っては夏を待つ

表皮の下の菫
永遠なら箱の中
写真の余白に見た刺繍
まぼろしが何か撒く
魔法の真似事で救われたいよ

寂しさの欠けたぶん
ばらの芯は透明
言づてなら真珠に書いて
皮膜越しの天使さま
これは叡智の成れの果て

とばりには雨
幻日のための洗礼名
爪に沈む花
名付けては眇む
揺るぎの棲み処


真緑が降る
ミル・フルールは睡らない
綴じられては護られた
遊色に絹の蓋
止め処ある魔物

野いばらの幽霊
火の色は手底から孵る
オーロラの堆積
朝焼けは非結晶の集合体
光を生んでひび割れてゆく

美しい融解点
夜の底に焼べる
サファイアは角もつ獣
円環のおしまいに
湖が飲む水

夜を矯める星
具現を一掬い
心室に銀を飼う
少し永遠が過ぎるね
忘却の野路を往く

ポルカドットの細胞はさざめく
初恋は蛹を模して夏になる
風招(かざお)きの部屋
面差しは淡彩の遥か
汀を描く素足

退化する至純
さ緑は隊列を成して四季をゆく
即席のオラクル
微睡んだらあめつちの骨
名前を捨てに行く小舟

静寂のミシン目
窓辺に恋のある風景
台詞の台座に雨が降る
鼓膜に映写する3分
隣り合う無知の純化

冬は鈴生り
可視光の束
崇拝を陽に翳す
新月を弾く表皮
千になれる零

渡りのカメレオン
バニラアイスに隕石が降る
薬指はマーマレードのため
セロファン紙で折る箱庭
シュクル・フィレに忘れ雛

まぼろしを溶く
お別れの化石
粉々のスーパーノヴァ
瞬きで散る街灯
石英の翅脈

標を編む手
残像なら金の額縁
ふるえる天球
帰るべき水底
空白の気化

リキッドアトモスフィア
星の背の順
怪談に恋を置く
嵩増すブルー
夜の四隅

分光される銀
鏡の向こうから凍る
宇宙の等分
フラグメントは舟になる
瞬きの指折り

秒針で占う恋
耳鳴ってタイフーン
まやかしの放熱
噛みあとに澄む
紙の花なら一千年

紺碧を朝に結う
金星の箔
縷々を透かす卵
またたきを飲む魚
透明の輝度

誹毀の発芽
平たいテレパシー
西陽を容れる器
失う恋に映ゆ
一面に薄桃のとげ

深海から見るデネブ
あいしてると同じ温度をさがしてる
君のふりして恋を灯す
ネオンを数えるフリージア
ゆらり、溶けて滲んだ秘密

忘却が冷たくなる前に
どこまでも優しい断罪
恋慕もお気の召すままに
貴方が呟く永遠が欲しい
いつでも明日を手放せる

うそだけくり抜いて持ってってよね
リボン形の破線に沿って
いちばんみにくいきみをだきたい
天象儀の欠片を噛み砕いたのでしょ
春が染みてく薬指

惑星踏んだのだあれ
庭に棲む幽霊
彼女の眠る福音書
モンスター・アイテール
花も悪夢も冷える夜

きみが生むまぼろし
正しい愛の光らせ方
嘘越しでもちゃんと見つけて
たかが心で孤独にはなれない
こんな胸にも星は来る

目玉焼きに一年掛かり
どこにも既成なんてない
いっせーのせで落とし穴を踏む
泣いたりするので忙しい
手足10本でも全然足りない
底よりずっと深い冷たさ

花を降らせたら楽園
睫毛で涙はほどけない
どこまでが羽なの
湖を連れて歩くということ
冬ごと春を撫ぜていて

運河は更紗
三ツ羽に金貨
伝言のピンク、と刺繍糸
象嵌してユニコーン
ラブレター敬称略
煙草くぐって春
街までだったらルビーの目
ゆびさきの帰り道
ふたりのときは雨を呼ぶ約束
次に生える牙はオパール
「すこし虹が足りない」
たてがみ売りにうってつけ
冬つもる舌
チョコレートに合う宝石
9つ目の100
文字編むは金糸とパールと二日月
朝焼けの端を縢る
下らないから永遠に好き
貝殻みたいなまばたきも
烏に冠
人魚には絹
夢を食む癖
キッチンには春がひとり
ヒーローのたてがみ
背びれもオーガンジー
四季の輪郭を手渡して
ダイヤモンドで重たい睫毛
嘘つきだったら愛してあげた
オーロラは溶けて窓を濡らすよ
化けても恋
君が放る文字はどこまででも虹色

青と橙の継ぎ目
眠りの綻びから楽隊がゆく
口笛結えば
夏を負う海
こんな小さな100万色

水面には蕾の群れ
胸も陽の内
文字は絡まって蝶結びになりました
これは深海のまばたき
紐解いたら手放して

窓辺には眠れない神さま
bedroom in her cube
ベルベットとジェリービーン
"without you"を夜と呼ぶ
ポラリスを冠る額

bare feet on the circle
渡りの羽根は飛行機のため
輪を結う絵筆
この胡桃は帰路になる
からっぽの木星に染む

紺碧にひらかれてゆく
青を飲んで波は青
「領っている癖」
輪郭は透明の成れの果て
aurora on her skin

チェンバロ午睡
たてがみには飴細工の勲章を
1mmの呪文で編まれてゆく
裾翻して恐竜の尾
お耳を畳めばウィンドチャイムと同じ音

いちばん星が金色を撒く
千の実と飾りフォーク
ためいきの内側まで白、白
脱ぎかけの莢
半球体に星が降る

透ける澱
鼓膜即ちコーラルリーフ
呼び名なら街じゅうに散らばって
矯めるための弧
毛並みには種子の整列

オールドファッション・ダーリン
まるい窓はカメオの輪郭
猛獣の牙すらフォークとおんなじ
weekend fizzで海岸通りを
抱きとめるはブルネットのたてがみ

"このゆびとまれ"のための人さし指
綻び繕うはクリームとタルトタタン
帽子のつばに御座します、
1000000色で円を散らして
この星くらい鍵ひとつで事足りる

音を伝えば百人目
可視なら傷/不可視でも棘
薇で太陽系(オルゴール付き)
don't know "don't know"
銀の群れにオルカを抱く

リボンとスカートの裾は等しくまるい
「君の手はポピンズ先生の鞄みたいだ」
窓辺ならジャム瓶のプリズム
丘の詰草は戴冠のため
一万回のまばたきを、その縁取りを、呼吸の額縁を

ダイヤモンドの被膜
まよい靴(ふたごの片割れ)さがしてます
天気窓としての鍵穴
転がる金釦を追っておとなりの宇宙
spicy sweetie

天使の頭上にヘーゼルナッツのドーナツを
帰路のためのスキップの教本
ちらばる歌を拾い集めたら手のりの星になりました
あらゆる芽にも名付け親
実を摘む爪も百色 春

エメラルドなら皮膚の下
頭の中をユニコーンが駆けて過ぎてく
羽生えた愛を鳴らす
熱持つオーロラの具現
からだひとつが透明な盾

こねこに捧ぐミルクティー
どんな恋でも束ねられるよ
リボンみたいな手のひら
ピアスホールに告ぐ「ロバの耳」
"my little, dear little."

鱗粉を撫でる感触に似てるね
「刺繍し甲斐のある瞼」
テキスタイルとしてアイラブユー
蛹の皮膚/undress me
君のゆく舟なら白い花

ビスケットのコラージュを
この傷に似合う花を選んで
黒鍵を渡って彗星に乗っておいで
わたしの骨に絵を描くひと
世界でいちばんおいしい孤独

爆ぜて燃したらチョコレート
星とは永劫の火種の名前
箱庭のオルカ
触れてくれたら救ってあげる
シェルターならポルカドッツ

天壌の雛
ジョウロには5mmの海の集合体
お庭の実りに木製スプーン
あしもとの星に神さまの額
差し伸べた手にも環は架かる

花の群れも根の分かれるを
胸から肺までベイビーブルー
種の孵る温度としての指
わたしが魚なら世界中の眠りを渡ってゆける
双の掌に雨やら花やら

はなうたを自転車のカゴいっぱい
うさぎの尾のためのシュシュ
春待つ蕾のおへやの中で
道しるべとしてビスケット
日時計の秒針とバレエシューズと三拍子

宙に浮いた光る石ころを埋めるため
「枠外に収まるように」
わるあがきじゃ食べ尽くせない
魔法なら1・2・3で事足りる
27:00(昨日が気化する)

百色実るハーヴェスト
たのしい迷子のすすめ
秘めたるノヴァ
ミルクプディングにミモザを散らす
しあわせのおとなりはしあわせ

花鬼
月の傾斜
六色魚
マシュマロ湯せん
牙は透明
花狩り
銀河群泳
リリリサイクル
CD裏の虹
飾り蛇

鱗の筏
忘葬
醜劣いとし
音叉片
90℃汽水
溺れ蛾
尾鰭フリル
飼い紙魚
輝脈
恋愛電波

逃げ火
冬篝
瞬間数
ハーフサマー
水銀プール
ノック式羽ペン
茎の接ぎ目
隠り家
ヘ音行列
恨跡

追い水
硝子爪
孔雀飼い
まじない瓶
ゼロスウィート
裾こぼれ
星捕り
薬指齧む
はじめのダウト
反射影

毒指
逆さ傘
八月の不可逆
144面体の隕石
花胎
胚の金色
愛し損
食紅色
エリスのもとへ
青い犬歯

常枯れ
勝負化粧
恋の襞
全字違い
神さま似
はした愛
涸れ乞い
息煙る
銀嵐
未来収集

沖に凪ぐ
心臓の膿
燃え埋む
昨日の累乗
オッドブルー
野なかの姫さま
薊が丘
冷えた児
鸚鵡戦争
憂う蠍

視線標本
腐敗する沼
少女の森
ルビーコンポート
羽塵
bite me
爪に刺繍
貝の裾
振り降られ
萼あかる

恐竜リボン
表紙の鍵穴
瞼に紅
いばらの座
野に睡る
昏き春
ダーリンミロード
飛行機の名付け親
鱶を孕む
水底に生う

馨しき骨
名前の無い庭
小路行く
むすめよ、むすめ
お前はあげない
コスモキューブ
三拍子から転落死
舌に芽吹く
小指に薄墨
百色睫毛

十の指から滲み出たい
鎌首擡げる血の管が
目と耳以外にお前はいない
かつての棲み処も春は来ますか
喰らえどお前になれはしないし
肚に降り積もる雲英を名に持つ
私に永遠を患わせたのに
おまえの捨てた枕木を背骨に
眠る間だけ化けていた
何を重ねても鬼
細胞ひとつまで幻獣
海のほかに溺れるもの
ばらやひとみじゃ美しすぎる
美しいのは賤蔑だけにして
背に羽など見ていると思うの
「美しい」が辞書にいない
業だったら来世まで持って行けた
わたし以外の災厄など許さない

薄闇で舌が煤ける
泥の靴では0時まで踊れない
皮膚が白けりゃ轢く轍
火に恨まれる覚え
「見るに堪えない月ですね」
鄙びた胸の焼け野が原を
背骨から脱がすのが正しい手順
君が嫌いな全部でお祝い
砂金が産む化け物
美しいだけ喰らう
女を剥がす行為について
幽霊の正体見たり雨女
カーネーションと地獄変

平らな四季の真ん中で
1と1を結うリボン
エディブルモンスーン
指借りて数える星座
手のひらから海まで花明かり

存在の輪郭
発光する粒子
背骨にしみる音
籠飼いの日の暈
文字のための臼歯
むかし蹄だったあと
夜の端が青む
不可視の極彩色
灼き均される
極冠に種
貴いこども
ユニコーンの庭

うまれたての春をぶり返す
皮膚の内側で雨、小雨
宛先のもっと先
失い方の結晶
夜を編むフィッシュボーン
光の膜
至らない恋でした
サーキュラー・ダイナソー
わたしを除くすべての呼び名
沈没船と隕石
胸は架空の透明の

プリズム滲む
通りすがりの窓たちが
額はまるで群青の
孔雀透く眦
声帯と鉱石
研ぎ磨かれるゼロ
街に滴る
水彩の霧
四季を吸う鱗
大気と粒子とホログラム

繭の化石
いつか恋人だった恐竜
知らないの具現
うまれる前には片割れだった
羽の根のわたしの端
空洞の散布
たかが憂いじゃコップ一杯満たせない
不可視も積もれば
鯨の皮膚に引っかかった寝息
群れる曲線
オーロラの錆

胎のなかの庭
呼吸のミシン目
選ばないの寄せ集め
まぶたの錠
darling atmosphere
鎖骨に提げる隕石や塵
ソーサーに行間にベッドルームに名前を書いた
哀れんであげられない
ボタンダウン潜むティラノサウルス
食べちゃいたいくらい嫌い
冬がわたしのために凍るのならば
眩まされたら春の下

空洞を縒る
うまれる前から悪い虫
石英のひび
蛹から蛹
たてがみと牙と色欲まるごと撫でてよ
呼吸まばたき彫刻刀
まるまって寝る悪魔
手暗がりに僕を半分
codenamed "coward"
触れた傍から僕の国

齧って初めて完全体
吸って吐くだけの簡単な呪文
啓蟄に満たぬ庭
両の手に酸素や窒素や二酸化炭素
パステルカラーの集合体
逆さ睫毛で泣いたりしない
specimens365
縁どりに棲んでいる
夏を留める鋲
満ちても欠けてもセプテンバー

ゆびさきの空腹
つまみぐいのお作法
マカロンを恋う舌みたい
頭の中にルイス・キャロルがいる話
麻酔がわりのかわいいダーリン
「やさしいひとの真似ごとです」
世迷言しか言えないお口?
crazy(for you)に係る装飾語
呼んでもないのに春が来る
"not beautiful."

花に埋もれてわらっている
となえすぎたら呪文をわすれた
幾億の白いお皿に残さずきちんと配られる
こんな愛なら持ってって
ペパーミントとぬるい水
飾られるべきはひそやかなる別れ
剥いだ皮の中まで嘘
三度目なら雨よりもきれいに泣ける
ただの生け贄
ひどくしていいからまっすぐ結わいて

まぼろしの致死
言葉が肌を滑って落ちる
愛されたくて死なないだけ
蛹化する羨望
化け物さえ愛しいの
死にながら光る石
まぶしいからだいきらい
愛されてるくせに
こんな小さな海の底
泣哭で傾いでゆく
呼吸ごとすくわれたい

世界ごと連れて行った
やさしくしたいよ
眠れるアイボリー
石英は呼吸する
永遠を識るこどもたち
せかいじゅうの花が在る場所
輝くのは音の輪
幾億の雨垂れの光る
白い花を、革の靴を、愛の歌を
ユー・エフ・オーを追う彗星

降る銀は百色
地下に星の群れ
双子の彗星は12弦
ミーツミュージック
僕らは終わらない曲を知ってる
星を喰らうナンバー
モスコミュールもたかがネオン
歪め歪め
故に踊るのさ
しらない音を捕まえに
ディスコハウスへおかえり
ディストーション、夢を見ている
ダンシン・ベイビー
ミラーボールプラネット

ワンダーブルー
致死量の柔い熱
三拍子で風はゆく
ルーフトップ・ファンタジー
Tokyo skyline
知らない英単語
屋根に生える芽
シティー・ファミリア
うわさのダーリン
プラスティック風見鶏
アンテナドールズ

イニシャルラヴァーズ
うまれない人たち
ワンシーンの余白
飾られた沈黙
サイダーの気化
星結び
テーブル・フェスタ
窓枠/額縁
いずれ恋になる
神さまが泣く場所

カンバス・ワンピース
フリルは羽じゃない
ピアスホールの小人が囁く
妖精の皮の靴
淡くても色は色
ひかり/嘘ばっかり
オフィスガール
騙す睫毛(牙に似ている)
ギターよりギター
落ち着かないのね
焦げたバニラ
幽霊か花の色
傷は付けない、傷付くけれど
リボンつけた本性

海より遠い
さかなは水の色
入り江の娘
アクリルオール
澪は澪
虹も塩辛い
青くはない辛くもない
凪ぐ環
うなされたら銀の泥
傷はなくても沁みるもの
騒がない潮
明日のおわり

知らない人を好きだった
捕まえたつもりかい
淡色の錆
流行らない嘘
手元に無い恋とか
酸いも苦いも
樹脂の2人
褪せてく酸素
さよならの代名詞
うつくしいは名前じゃない
百年経ったら忘れるくせに

千尋の悠久
生まれ得ぬ波
天を孕む魚
heaven in the womb
音の無き沼
泡沫を食み暮らす
龍の胎児
永劫が淵
水銀の巣に埋む
在りし湖(うみ)の主
闘魚に翡翠

蹄と鬣
hard/hurt
解き初めし
爪の割れ目に猫の眼
残像の翻る
ゴールドラッシュ・ダイアモンドラッシュ
歪は揺らいでいる
神様の死んだ日
ミラーボールフィッシュ
午前二時の眩暈
凍傷に熱冷めやらぬ
比喩と造花
夢千夜
煌然たるトパーズ

蜂蜜と青酸カリ
レディー・エアー
日陰の茨
孵化/不可
浴槽の隅にて
皮膚の下の昏い憎悪
ぼくは錆びたナイフ
病める核
生まれ損ない
悲観癖
クローズ・マイ・ワールド
真夜中水槽の底
銀魚を夢む
劣等なガーネット

冷たい箱
全ては鍵穴に在る
明るい闇の深奥の
蜥蜴の首
死して尚燃ゆるように美しき
燒かれた骨の白く赫く
星に届かぬ
ローズガーデン・イン・ザ・ナイト
遺されたQ染色体
或いは脳髄の寄託
エンドレス・フューネラル・マーチ
喪失/惑溺
オニキスの棺

黄ばら姫
おなじにおいに呼ばれて
昏冥に眼は耀く
石膏の女
合わせ鏡に尋ねたら
リング・ア・リング・マッドネス
羊の皮
美しい死に殻
その醜さに焦がれている
モラルインモラル
既視感の渦
しずかなる廟
蛇とダイアモンド

色鮮やかに薄れゆく
横たえた未来が責める
美しき執着
愛撫するような破壊衝動
焼け爛れた未来だけ手に入れた
あした目が覚めたらこの世の美しいもの全て消えていますように
深海の鱶は目覚めぬ
饐えた花を齧る
end/funeral

極彩色が燃え落ちる
四季の命日
晴れ女の雨に死す
細胞でくるんだ愛とか
一人で咲いてろ
幼少の悪魔
花言葉しか話せない人
100階建ての星ぼし
ボタニカルエンヴィ
初夏準急
アンニュイキャラメルコーティング
さよならからのグラデーション
ロイヤルネオンライトクラブ
こんな死骸が貴石だという
花瓶のパルファム
12月の天鵞絨に結晶する
歯にさわる呼称
使い古しの予言でもひかるよ
花折りの鉛毒
ご自愛ならご自分で
結んだ迷子がほどけない
生まれたときから萼だった
グロッケンシュピールで明けてく
樹氷を脱ぐ
ひとりで始めた嘘だから
おばけの裾引く
その子午線は誰が縫ったの
君の名のついた台風が過ぎる
魚は泣かないと君が言うので
心臓ひとつでわらってくれる?
続く路も花ざかり
患ってゆくしあわせ
莢を着る魚
真昼には満たない地下室の光源を
デッドストックの真っ暗闇
鮫の胎に生まれ直す
ワンダーワンダー
スチール缶いっぱいのコーンで溺れる
朝の端を焦がすライター
cannotと10cm
振るならばかわいい刺繍の白い旗
百の耳そよがせて
踊っていたいふちどりで
野生の冬は懐きませんので
睡りに栞を挟んでからね
じょうずに綴じてあげられる
初恋を埋めたシリウスを春が来るたび通り越してく
滴るプラズマ
欲は食うもの
鈍色の鍵束に括られては飽き
失望の酸化するさま
余白ばかりの女の午後は
跡形もなくなってからが愛
揃えた襟足は羽を撫でるに似る甘美
これが愛なら蝶々結び
わたしだけのかわいい化け物
溺れたいなら帰っておいで
なんにもなくても王子さま
ゼロのおとなり
足あとは星を構成るか(構成る:つくる)
listen to your "easy"
食べられないのは女と青い実
裾の陰の台風
ジャム瓶の蓋の上で踊る
ギターと魔法は交通手段
グッナイはおやすみじゃない
回転木馬でゆきます
オーロラおりがみで舟を折って漕いでく
まど硝子に埋まる月
はみ出した海はペガサスの棲み家
チョコミントを讃えよ
レースカーテンは鉄壁
花を入れるための棺
脳に棲む古代魚
液体宇宙
a planet on the dish
想像で殺してくれ
易しいおわりを与えてちょうだい
眠る電気信号
君の肌の蛍光
腐りかけの羽根のあと
イニシャルを縫ってくれ
楽園のずっと下
ぼくの孤独がほしいのかい
シュガー/キャンディー/ファルセット
樹脂の右脳
血の中で幾億の卵が孵るよ
回游する昏黒
しあわせも語呂合わせ
その干乾びた両手がやがて常磐に還るように
あなたにも訪れるであろう祝福の日のことを
宇宙を壊す音に似ている
君の足元の冷たい土でさえ星なのだから
刃の上のしろかねの
麗しき劣等
愛に生まれて愛へ向かう
そのひとみは三月の終わり
花びらの降るように、木漏れ日を抱えて星の川を駆けておいで
世界は悲鳴も上げないが
雌の生態
足跡から蛇が生える
常しえを泳ぎ切れども
スクリーンに死す
金の靴で駆けるブルネット
遮断のユートピア
螺旋階段のいちばん上から踊るように突き落として
夜を這う蜉蝣
ライオンバンビーナ
溺れる蛍光
エラー・エラー
ハートブレイクにつき
憂鬱なアロワナ
キッチンクイーン
春殺し
傷口に生クリーム
うそつきな贄
つめたいまひる
人形が死んだふり
つまり裏切りとはその指であり
お前の夜は何処にある
ロマンシング・ア・ロマンス
虚空を泳ぐ
鷹とクレオパトラ
機械音に耳を澄ませて孤独は午前四時の中
まいにちが結晶化する
チェリーコークと散弾銃
からだの中のたうちまわって赤い実
1/7200の額縁
褪せる菫/冬の絹
君と空気の境目にふさわしい名を
恋はかばんの底で三年間忘れられていました
レースのもよう/覗き窓
きみがふるわす空気がすきだ
ひらかれる発光
画用紙の隊列
夜の余白を集める
祝福の街まで雨は降らない
星屑をちりばめた靴なら遠浅を渡ってゆける
night on the floor
息ができないなら陸だって海だ
I love you, my little crocodile
マシュマロバブルリング
砂糖は大さじ7杯、アカシアの蜂蜜と山桃のジャム
あのタルトには媚薬が入っていた
路地裏/煙る/オレンジライト
dancin' in the zoo
星の尾を引く
まばたき惜しむ少年
がらくたの海
スカートの裾がちらつく
きみのかわいいボーイフレンド
彗星ペン
自転車ロケット
オズに恋して
賛美歌の106番を歌うように
溺れる花嫁
はじめて会う発音
夜の蓋をきちんと閉めて
瞼に夜を塗る指の腹が白い
33の痛みのなかからひとつだけ
くだらないを蒸留したら
どっちのほうの夢のこと?
ブルーグレースプリング
火を罰する術
似せるのをお忘れです
暗やみの紡績
吸うたび失う
ロマンチックでなるものか
オーロラの殻
生活はビロードの上に成る
その盲目に名前をやろう
逆さ恋文
2文字なら悪い魔法
穴あきの四季
春ごといなくなる人へ
装身具に太陽の刺繍
額に文字の成り損ない
噛まれたいのは流行病
夢にいくつかの気泡
蒸発する幽霊
瓶詰めの憂鬱
擬態する窓
蕾む睫毛
まあるくほどいて
星が薄まる
常春の莢
常套句の粒子が沸騰する
これは滲み、斑ら、欠陥の
アパルトマンつばくらめ
透ける紙なら悪意と押し花
「心臓が重たくて、泳げない」
わたしが嘗て大気であったとき
アクリルスプーンの上の砂漠
アルファベット百味
ピアスホールに青の染む
錆びた夜にも星は降る
少女による魔法のための必須条件(刃は隠すこと)
迷子のための花圃の地図
恋や愛とはばけもののこと
月の血肉
星を探して深く掘る
鯱になりたい少女の脚
この傷は写真や手紙と同等だから
食器棚とシュモクザメ
木苺と蛇の卵と天使の鱗
ばけものを孕んだの
化粧疲れ
ぼくはピラニア 天の川のピラニア
なけば宝石、歌えば更紗
猛毒のお招き
紅茶の濁りに怪獣は棲むか
生クリームのお化けがぽろぽろ
翔ぶための骨はウサギの形
狼と木綿のシャツ
うつくしきはミルフィーユの毛並み
かわいい名前の病気
スペルはxxx
鷹と造花
ファズギターの思し召し
クリームと桃と皮膚
ランタンプラネタリウム
キッチンハネムーン
わたしのバービーボーイ
マドンナか化け物か
you/your/me
飾られない卓上
恋は猫の眼
星の座る椅子
マシュマロウォーズ
呼吸しない愛
ぼくらゆく先に愛は眠っていないから
リボンをとくみたいにいなくなる
罵りたいならわたしにしてね
きみの暗やみを払い除けてく
正しさと心中したいんだ
ダイヤモンド酸素
なまえのじゅもん
君の字は生きている
春千歳(はるちとせ)
凍傷から芽吹いて灰だらけの春
ぼくが読めない逆さ文字
3秒後きみがしあわせであるように
その一言ラップでくるんで保存したい
スパイシーバニラビーンズ
発光する常夜
花と屠肉
猛毒いちごシロップ
蝉の還る土へ春は消えゆく
ぼくの心臓に隠した
久遠をねだる子
えりあしに花屑
チョコレート・マシンガン
空翔ける星の死骸
五本指と鍵盤と光る銀の刃カッターナイフ
骨からでまかせ
葉桜の燃ゆる頃
スパイシークラシック
スワンレイク心中
エデンアゲイン
篝火で星を焼く
春になったら桜を狩りに
土およぐ魚
一人称戦争
花と方舟
掌と本能
裸足の薊野
持ち運び熱帯魚
チョコレートを忘れる薬
振られて魚に擬態する
頭蓋の内に湖のある人
ベッドふくらます七色バルーン
リトマスコスモス
朝が明けたら金星に
プリズム滲ませて
ひびわれてゆく午前5時の表皮
キャンディーストライプの舌の上
呼吸の底に積もる
おとなりの反射光
嘘で澄む水
透けない表皮のミシン目に
平たい胸から滑り落ちてく言語の群れ
girl(花は食むもの)
ボーイミーツガール戦争
かわいい呪いを結わいてあげる
羽と真珠とビスケット
おめでとうを星座でいうと
星捕りの番人
陸続きのワンダーランド
百年待っても骨は羽にならないように
見上げ続けて石になりました
あはれホットミルクの行く末
不可視のサテンリボンでぐるぐる
残さず食べたお皿の上で
エーテルへの信仰
夏の荒らした跡たどる
魔女は西には飛んでゆけない
ぼくだけのイライザ
チョコレートの棘
ロンリーネオン
不要性
小鳥とトリコロール
苗にお眠り
胸ポケットの神様
地球が千回まわった日
六月は花かんむり
月がとっても白いから

花枯る五月
嘘ばかりが煌いた
そんなに涙が美味しいかい
あじさい柄の淡く
心音はさよならの数

春は薄紅
星おはします
うだるネオンに消ゆ
冒涜欲
呪文は知っていたよ

花にドルフィン
水槽銀河
歌も眩い
人魚と彗星
煌く鍵盤

埋まらなくても溢れてく
つめたい骨も冷たいままに
花びらどこへ散る
あの子のこと話そうか
きみの金の道、ぼくの白い道

子宮の底
ぼくが腐って世界ができる
いばらを舌に
醜劣な魔法でごめんよ
幼生孕む脳

アリスの夢を食べたのかい
金の小人がいいました
鶺鴒の羽と真珠とで
女王さまの飼いペガサス
つるばら梯子は星に届くか

今日の夢のつづき君が見たらいいな僕ら明日までは繋がってられるよ
太陽に赤い糸かけて昇らないようにずうっと引っぱってるんだ
宇宙時計を探してピアノの船で冥王星の辺りまで
この地面の反対側で呼んでごらんよ花束抱えて迎えにいくよ
終わったりしないよういつでも始まりがあるように笑っててよ泣いたりしてよ

教室の隅の伝言ノート
午後四時の廊下の橙
サイダーに喩えるような
制服の水たまりに虹もかかる
芽も眠る三月

植木鉢に太陽
魔法使いのワンピース
花柄午睡
まぼろしもまぼろし
スプーン上の春

花枯らし
星食む海
サイダーグリーン
青100色のカレンダー
蒸発する夏

燃えれば茜
羅列する夜
ティーカップに銀河を
実は生る葉は散る
彼女の棲む秋

素足も雪の下
リボンは猫のため
降る降る生クリーム
凍りまつげも煌めかし
眩きは冬

斯くも悲哀に満ちて居る
夕べの朝(あした)
灰の枕に紅ばら散りぬ
昏き旱/褪せた幽霊
おさなき空想の屍骸よ