2020/4/11でalkalismは15周年を迎えました。感謝の企画として、リクエストをいただき、抽選で1名様に100題、みなさまに3題のセットをお作りしました。100題はIt's a honey sunny dayをご覧ください。たくさんのご参加ありがとうございました!


冬子さま
‬「氷」


マイナス100度のはつ恋
rejeweled
あわいの分光


塔子さま
「雪暗本丸の薬研藤四郎と審神者」


手暗がりに囲う冬
絹のやうに変若つ真白
結び目のいびつを花に喩えては


Kさま
‬「アクアリウム」


100回前の生まれは銀色だった
プリズム・バリア
来世は人魚になるこいびと


東雲さま
‬「夏」


色摘む指の半透明
サイダーで酔えない不出来
「消えないように燃えるんでしょう?」


真歩さま
「刺したところからストロベリーソースが溢れるフォンダンショコラ」


夜の皮膚に歯を立てる
silvery partiality
とげとげのコンポート


桜月さま
「女と女に似合う3題(百合)」


淡い被膜/極彩の鱗
夏だったこともある指たち
リボンのかたちのお別れで


一ノ瀬さま
‬「光の射す方へ」


まよなかと同じ温度でいるために
拭われてゆく空洞へ
spangled longing


椿餅さま
「星、薔薇、恋愛以外の単語を使ったもの」


プールの波が孔雀に似ている
なみだに擬態するんじゃない
雷雨の味がしていた氷菓


千加野さま
「神田ユウ」


睡りを泳いだ果ての落日
数えなくていい幸福の上
永遠をあかるいすべてで描くきみよ


ノルツさま
「安眠」


ふかふかをあげたいきもちのなまえ
齧られたところから虹が出る
僕らすべての夜をふやかしておく


漪瀟さま
「光」
「スケープゴート」


きみを塞く幅3cmの眩暈
晴天の桜を溶いたような嘘で
after the floating heaven left


はちさま
‬「魔法」


発音記号の間に光ったのは
花まみれの不在証明
呪文が編まれた睫毛なのでしょ


一枝さま
「すみれの花びらが似合う耳たぶ」


雨を宿すための余白
遠くの夜がここへ辿り着くまでに薄まって
きみの影へ還ってゆく春よ


飴んぼさま
‬「老人と海」


窓のような色彩のスコール
潮鳴りに錆がかがやく
白日の環を翳す


よながさま
‬「ナナシスの鰐淵エモコちゃん」


花に咬まれたままで生きて
どの足元にも青天を敷いてあげる
dazzling cordiality for you


ゆずきさま
‬「きっと、はつ恋」


空気のひびに色がついてゆく
つぼみと思っていた痛みのこと
今はもう恋だと告げてやらなくてもいい君よ


鶏さま
「料理番組」
「遅咲きのアイドル」
Barの店員と客」


何もない、に乗せてゆく五感
ポケットに眠らせていた閃火
まなざしの波だけがきこえる


きりうさま
「卯月」


小指からこぼれた春がまた降り注ぐように
片白に潤びる夜半
ただ一つの明日を照らしてくれ


笹倉さま
「メカノルミネッセンス」


天国がうまれる日だったの
水底でも新月でも火を引いて
抱きしめられるとき見えるポラリス


八月一日さま
‪「ダーク」


胸の暗がりで収縮する銀河
霧散してゆく光の痕
missing naught


ぬぬさま
‬「綿(わた)」


アラザンとスパングルのお化粧
記憶の泡あわを吸ってふくらむ
白雪さまよりハレーションより


西原さま
‬「雪月花」


暁紅を覆う薄ら氷
浴槽にも紙の月
雨の一音ずつ透けてゆけ


夏野さま
「隻眼のねこ」


ユニヴァス・イン・アンバー
路地裏に湖底の名残り
やがて星の土となる骨のこと


ロクさま
「桑名江」


雨のうつわとしての豊穣
目だまの色が何か汚すとして
遠雷を結ぶ陰


伊織さま
「黒羽実彰」


膚のうえの月暈
祈りを引くような銀の色
明け切らない朝を泳ぐように


たらこさま
「エブたらwithレオマオ」


プレゼントボックスの100の災い
爆音で歌われる容易い誓いたち
「世界も呪いも同じこと」の軽やかさ


なおさま
「友達以上恋愛未満な背中合わせの二人」
「近すぎて境界線が曖昧な男女」
「真島太一と綾瀬千早」


睫毛のぶんだけ遠い隣人
生まれかけの音を撫でるような瞬き
結んだ小指の不自由たち


みやびさま
「僕を愛して」


欠けながらふくらんでゆく春
これ以上薄まらない彩りの中心で
底なしの傷をずっと潜っていく


水氷さま
「五大要素カクテル」


flavor of atmosphere
虹は溶いたら濁るのに
水平線の結晶化


蜷川さま
「雨後の夢十夜」


乾いた目蓋を月が滑る
真珠様に潤む眩暈
水溶性の睡魔だったもの


いろのさま
「マオちゃんの癒しになるもの」


文字状の百花
冬を綴じたままの綿雲
白昼ワンダーベイビー


悧子さま
「晴雪をひかる百合」


写し取った色を盗めたらよかった
まるで創世のような白いろ
発光とは分解のこと


うろさま
‬「少年と青年の間」


揮発、もしくは羽化
名のない夜を泳げるようになって
背骨を通り抜けていったスコール


ずしさま
「幸せになってほしい」


まどろみのようにうまれくる季節
これは来世の代わりの魔法
君が生涯気付かない祝福をあげる


小豆はるさま
‬「曹達水と星屑」


glitter quartz
琥珀糖を宙に放した
逆さまの流星槽


タカミさま
‬「仲の良い先輩後輩」


平らに色づいていく大気
音の鳴るアイスクリームフレーバー
水たまりに写し取るバックミュージック


ゆみさま
「ソーダ水と揺れるカーテン」


レースもようで降りてくる太陽
リキッド・ハイファイ
テーブルの海底を舟がゆく


(テーマ非公開)

沈丁花が散るように痛いよ
空いた穴を埋める塩からい頬ずり
もうずっとちいさな雷と住んでいる



ハルヒさま
‬「眼鏡」


視界よりも広い余白で
雨を隔てて走るブルー
反射しなかった月を剥がして


月白さま
「縢秀星」


エディブル・ジュエルのヘンゼル
出来る限りやわい水底で迎えてあげよう
呪いのかたちの永遠を脱いで