“幽霊と火のあいだ” は イッカク酸さまのオリジナル審神者をイメージして作らせて頂いたお題です。いきなりのお願いにも関わらず快く題材に使うことを許可して下さったいっかくさんに心からの感謝と尊敬を込めて!
その冥闇には舌が有る
水母にはアルミの脊骨
百舌の王
雨の胎から生まれた
あじさいは複眼と云う
呼気が雨を成した百年
浅くやわらかい無間
お前の砂漠を掬っていた
隠り沼の嗣子
薄闇に化けている
夜を引き摺った跡
絹の鱗翅を振り翳す
幽霊船の英主
舐めると甘い煙
イージーノウ
レイジーノア
夕立に似たこども
歓びを塞いでいた
うつせみを模したる目蓋
神様の色違い
化粧う痣
堆積する白夜
クロルカルキで海が満ちる
砂棲の鯱
流砂に竝ぶ芥子
不道徳にも実は生るか
プラズマ群生
虹の粘膜
雷鳴の手ざわり
お前のまじないなら睡れた
万華鏡に似た耳鳴り
トキシックチェリーコーク
透き通ってゆく泥土
水を重ねて舟を織る
花布と水瓶
羅紗の鱶
丹色は炎を棄てるため
澱みの更紗
暗やみに綾の煙り
磁化する知悉
幽霊と火のあいだ
ストイシズムが歯牙を持つ
天文に錆は生す
落日に怠惰の譽れ
鱗ある鵺
侵蝕が菌糸を伸ばす
浮雲の斜度
肋に種を忍ばせる
疎懶積もりて冠と成れ
神話の一筆書き
おとといのお招きへ
斎庭の回路
absolutely bewitching
気化した修羅の名残り
手底に極彩の春雷をひろげて
雨抱くアンバー
コンテンポラリー・シャングリラ
落花と蛺
お抱えの怠惰
テレパスに同化する
卑欲が甘露の美味なるを
百色浮世の敷衍
展翅場百縁起
プラスティック痂皮
山猫は金銀更紗の毛並みを以て
紙片の陽も蝕ゆ
鬼孕む蛹
火種にも時雨る
蛇の結び目
叡智を継接ぐ
バニラフィルタの不透明
朝と夜とが裂けていく
極彩色を注ぎ分ける
金襴の膚
在りし陽の腐蝕
言祝ぎの骨が嗤う
眩冒百眼鏡
spooky sugar fizz
虹の毛並みを撫でている
いくさ場の余白
灰の斑らを総べること
ぬるいネオンが朝を這う
渦状の卑欲で彩られてく
まじないはラグドールの毛並み
虚ろの咎にも紅を引く
敬虔な燃え殻
日照りの檻
輪違いの呼び名が継がれる
虚に積もる常春
真火が毛羽立つ
泥のキルシュが結晶してゆく
山椒魚と夾竹桃
庭持つ瑪瑙
彩度ある電磁
色取り々々に盲ひたる
錦眼鏡の種を売る
耳鳴りの祝祭
尾ひれのような椿ども
夕やみをひび割りながら
辰砂の海が広がるばかり